山野則子研究室が「コロナ禍における子どもへの影響と支援方策のための横断的研究」報告書を発表―高いストレスを抱える子どもが3割強、見えないリスクが可視化―
更新日:2021年4月5日
大阪府立大学 人間社会システム科学研究科 山野 則子 教授らが厚生労働省からの委託により調査を進めてきた「令和2年度 厚生労働科学特別研究事業 コロナ禍における子どもへの影響と支援方策のための横断的研究」について、このたび調査報告書がまとまり、山野研究室が調査概要を発表しました。
この調査は山野 教授が研究代表者を務め、兵庫県こころのケアセンター 亀岡 智美 副センター長・研究部長、花園大学 和田 一郎 教授、会津大学 短期大学部 鈴木 勲 准教授、大阪府立大学 木曽 陽子 准教授、伊藤 ゆかり 研究員、小倉 康弘 研究員等が協働して、新型コロナウイルス感染症と保護者や子どもへの不安・負担を保護者調査・子ども調査、行政機関調査によって調査・分析したものです。
プレスリリース全文(251KB)
今回のポイント
- 最大規模の調査数かつ高い回収率:約35~55%
- 特に知られにくい機関調査(教育・保健・児童相談部局への横断的調査)を、保護者・子ども調査と併せて読み解けること:ゲーム依存や性に関する相談などの急増
- 何となく思われていたことの数値による明確化:
(1)高いストレスをもつ子ども約3割強
(2)休校解除後に学校に行きづらいと感じる子どもが約3割
(3)精神的・身体的・その他の負担が増えた保護者4人に1人 など
これら調査結果から、DV・虐待・不登校など顕在化したリスクを新たに発生させる恐れがある、潜在化した「見えないリスク」が可視化されました。学校休校の影響の大きさがわかりました。
山野 則子 教授のコメント
この調査によって、これまで誰もが漠然と感じていながら数値で見えてこなかった新型コロナウイルス感染症の家庭や子どもへの影響が、明確に可視化されました。(しかも、危機的な数値でした)
コロナ休校の影響は非常に大きく、当時学校が抱えていた課題もわかりました。特に新型コロナウイルスの人口当たり感染者数高位群の地域が直面した課題の大きさが明らかになりました。
学校は勉強をするだけの場ではなく、子どもにとって重要な所属、居場所であり、奪うべきではない。より多くの学校と連携しつつ、子どもたちひとりひとりの潜在リスクの発見に役立つデータ活用型スクリーニング(山野2020)を利用した問題予防型制度の構築を進めていきたい。
SDGs達成への貢献
大阪府立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。
本取り組みはSDGs17のうち、「1:貧困をなくそう」「3:すべての人に健康と福祉を」等に貢献しています
関連情報
厚生労働科学研究特別研究コロナ影響調査報告書が完成しました!(山野則子研究室 Webページ)
お問い合わせ
大阪府立大学 大学院 人間社会システム科学研究科
教授 山野 則子
Tel 072-254-9783 Eメール yamano[at]sw.osakafu-u.ac.jp [at]の部分を@と変えてください。