大阪府立大学

ヤマコウバシがたった1本の雌株から生じた巨大なクローンであることを発見!

更新日:2021年2月26日

大阪市立大学大学院 理学研究科 生物地球系専攻 准教授 名波 哲(ななみ さとし)・大阪府立大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻 講師 徳本 勇人(とくもと はやと)・東北大学大学院 農学研究科 資源生物科学専攻 准教授 陶山 佳久(すやま よしひさ)らの研究グループは、日本の山野に生える4種の雌雄異株樹種、ヤマコウバシ、アブラチャン、クロモジ、ダンコウバイのDNA情報から、これらの樹種が雌雄異株性の不利をいかに克服して集団を維持しているのか、その仕組みを探りました。その結果、アブラチャン、クロモジ、ダンコウバイの3種は、自家受精や単為生殖を行わず、必ず雌雄の交配によって近交弱勢を避けていることが示されたものの、ヤマコウバシは雌株が単独で種子を生産することで雌雄異株性の不利を克服し、さらに日本のヤマコウバシがたった1本の雌株から生じた巨大なクローンであることが分かりました。この巨大クローンの分布の範囲は距離にして1,000 kmを超える、世界的にも極めて珍しい大規模なものです。

本研究成果は、植物生態学分野での国際的な学術雑誌である「Forests」に2021年2月16日付けでオンライン掲載されました。また、2022年4月に大阪市立大学と大阪府立大学は融合し新大学となることから、新大学においても今後推進するべく共同研究となります。

論文タイトル「Genetic diversity and structure of apomictic and sexually reproducing Lindera species (Lauraceae) in Japan」

本研究のポイント

  • ヤマコウバシ(解説1)がたった1本の雌株から生じた巨大なクローンであることを解明。
  • 生物の世界に性というシステムが広く存在する理由の解明につながる可能性を示唆。

SDGs達成への貢献

SDGs15と17のアイコン

大阪府立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。

本研究センターはSDGs17のうち、「15:陸の豊かさも守ろう」、「17:パートナーシップで目標を達成しよう」に貢献しています。

研究協力

大阪府立大学 21世紀科学研究センター 先端ゲノミクス研究所(所長:大塚 耕司)

研究助成資金等

日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(C)「雌雄異株樹木の頻度の地域間変異を生む要因の探索」(16K07783)(代表:名波 哲)、日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B)「無性生殖で殖える外来植物の分布拡大過程:日本の雑種タンポポをモデルケースとして」(18H02224)(代表:伊東 明)からの支援を受けて行われました。

用語解説

解説1 ヤマコウバシ

東北から九州の森林に分布する落葉樹

お問い合わせ

研究内容について

大阪市立大学 大学院理学研究院 生物地球系専攻

准教授 名波 哲(ななみ さとし)

Tel 06-6605-3166 Eメール snanami[at]osaka-cu.ac.jp [at]の部分を@と差し替えてください。

取材について

 公立大学法人大阪 法人企画部 広報課(大阪市立大学担当 西前)

Tel 06-6605-3411
Eメール t-koho[at]ado.osaka-cu.ac.jp [at]の部分を@と差し替えてください。