21世紀科学研究センターの技術が融合! 新型コロナウイルスの新たな抗原検査法の開発へ―本学教員の研究課題がAMED「ウイルス等感染症対策技術開発事業」に採択―
更新日:2020年8月28日
大阪府立大学 理学系研究科 物理科学専攻 教授/LAC-SYS研究所 所長 飯田 琢也を研究開発代表者とする研究課題が、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)による令和2年度 「ウイルス等感染症対策技術開発事業」に採択されました。
AMEDについて
AMEDは、医療分野の基礎から実用化までの研究開発の成果が円滑に実用化されるよう、大学や研究機関などが行う研究を支援し、研究開発やそのための環境整備に取り組む機関です。内閣に設置された健康・医療戦略推進本部の意を受けて、文科省・厚労省・経産省からの補助金をもとに研究予算の管理・配分を行っています。
採択内容
公募研究開発課題名 | ウイルス等感染症対策に向けた機器・システム等の構築に資する基礎研究支援 |
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研究開発課題名 | 光濃縮による1ステップ超高感度ウイルス感染症検査システムの開発 |
研究開発実施予定期間 | 2020年度(令和2年度) |
研究概要
新型コロナウイルスの抗原検査に用いられるイムノクロマト法は、PCR法と比較して簡便な操作で短時間に実施できる反面、抗原抗体反応に基づく測定感度は十分なレベルではなく、動物に免疫して作製される抗体の性能に依存するなど改善が難しい根本的な課題が存在します。そこで本研究では、「大阪府立大学 21世紀科学研究センター LAC-SYS研究所(飯田所長、床波副所長)の光濃縮デバイス」と「大阪府立大学 21世紀科学研究センター ケミカルバイオロジー研究所(藤井所長)の分子標的ヘリックス・ループ・ヘリックス(HLH)ペプチド」という2つの独自技術を融合することでその課題を解決し、超高感度かつ1ステップ操作での画期的な診断法の開発をめざします。
レーザーによる光誘起力と光誘起対流の相乗効果により、生体サンプルを「光濃縮」し反応速度を著しく加速することで数時間単位の検出を数分単位にまで高速化できます。また、「分子標的HLH ペプチド」は新型コロナウイルスに結合する抗体の代わりとして、特異的で高感度な検出を可能にします。外国から抗体を輸入する必要がなく、国内で化学合成できるため非常時でも問題なく調達できます。
大阪府立学を代表するこれら2つの技術を融合することで、高速・高感度な新型コロナウイルスの抗原検査法を開発します。LAC-SYS研究所ではスマホと同程度のサイズのポータブルデバイス化をめざすことで、小さなクリニック、ドライブスルー検査所、空港などどこでも簡便に診断できるよう研究開発を進めていきます。
「ウイルス等感染症対策技術開発事業」について
感染症の課題解決につながる研究開発や、新型コロナウイルス感染症対策の現場のニーズに対応した機器・システムの基礎研究・実証・改良研究を支援するものです。
本学教員のコメント
飯田 琢也(理学系研究科 物理科学専攻 教授/LAC-SYS研究所 所長)
物理学の基礎に立脚しながら化学、生物学の先生方とご一緒に「生化学反応の光誘導加速システム(LAC-SYS)」に関する異分野横断研究を進めて来ました。この技術の基礎となる「光濃縮」を駆使してシンプルかつ超高感度なウイルス検査システムを開発し、人類が新型コロナウイルスや未知のウイルス感染症の脅威を克服できるようにベストを尽くします。
床波 志保(工学研究科 物質化学専攻 准教授/LAC-SYS研究所 副所長)
自然界のハチの巣から着想を得てハニカム型の光濃縮基板の開発を行い、大面積かつ高密度に細菌など微生物を生け捕りにすることに成功して来ました。この技術を活用して、国民の皆さんがウイルスにおびえず安心して暮らせる世界を取り戻せるように本プロジェクトに貢献したいと思っています。
藤井 郁雄(理学系研究科 生物科学専攻 教授/ケミカルバイオロジー研究所 所長)
これまでに藤井研究室では,独自のペプチド・ライブラリー(ヘリックス・ループ・ヘリックスペプチド)を開発し、疾患関連タンパク質を阻害する分子標的ペプチドの獲得に成功してきました。今回は、このペプチド・ライブラリーを駆使して、コロナウイルスを特異的に捕捉する分子標的ペプチドを探索します。
SDGs達成への貢献
大阪府立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。
本研究はSDGs17のうち、「3:すべての人に健康と福祉を」、「11:住み続けられるまちづくりを」等に貢献しています。
関連情報
- 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 Webサイト
- 令和2年度 「ウイルス等感染症対策技術開発事業」の採択課題について(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 Webページ)
- 大阪府立大学 21世紀科学研究センター LAC-SYS研究所 Webサイト
- 大阪府立大学 21世紀科学研究センター ケミカルバイオロジー研究所 Webぺージ
お問い合わせ
大阪府立大学大学院 理学系研究科
教授 飯田 琢也
Tel 072-254-8132 Eメール t-iida[at]p.s.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。