本学教員の研究課題がAMED「創薬基盤推進研究事業」に採択―低分子化合物の新しい設計法の開発をめざして―
更新日:2020年7月7日
大阪府立大学 理学系研究科 生物科学専攻 藤井 郁雄教授の研究課題が、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(以降AMED)(解説1)による令和2年度「創薬基盤推進研究事業(解説2)」に採択されました。
採択内容
公募研究開発課題名 | 低分子医薬品の次世代デザイン手法に関する研究 |
---|---|
研究開発課題名 | 立体構造規制ペプチドを基盤とした低分子医薬品の次世代デザイン法の開発 |
研究開発実施予定期間 | 2020年度(令和2年度)~2022年度(令和4年度)(最長3年間) |
研究概要
抗体医薬は、疾患に関連するタンパク質の相互作用を遮断することで有効性を示す医薬品です。しかし、その製造には遺伝子組み換え技術や細胞培養技術を必要とするため生産コストや治療費が高くなります。また、胃で分解されてしまうため飲み薬にはできず、病院で点滴を受ける必要があります。一方、化学合成で容易に製造できる低分子医薬品は、生産コストや治療費も安く、胃で分解されないので飲み薬にもできます。しかし、低分子医薬品で疾患関連タンパク質の相互作用を遮断することは大変困難で、製薬企業でもそのような化合物を設計することはできていません。
本研究では、独自の技術を用いて新しい低分子医薬品設計法の開発をめざします。これまでに、藤井研究室では疾患関連タンパク質の相互作用を遮断するペプチド医薬の設計法を確立してきました。このペプチド医薬の部分構造情報を活用して、化学合成可能な低分子化合物を理論的に設計します。抗体医薬の弱点をすべて克服できるため、今後の医薬品開発に大きなインパクトを与えるものと期待されます。
教員コメント
これまでに藤井研究室で独自に開発してきたペプチド・ライブラリー(ヘリックス・ループ・ヘリックスペプチド)を活用して、疾患関連タンパク質を阻害する分子標的ペプチドの獲得に成功してきました。今回は、これら分子標的ペプチドから得られる相互作用情報を駆使して、日本発の新しい創薬手法を開発します。
用語解説
解説1 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)
AMEDは、医療分野の基礎から実用化までの研究開発の成果が円滑に実用化されるよう、大学や研究機関などが行う研究を支援し、研究開発やそのための環境整備に取り組む機関です。内閣に設置された健康・医療戦略推進本部の意を受けて、文科省・厚労省・経産省からの補助金をもとに研究予算の管理・配分を行っています。
解説2 創薬基盤推進研究事業
創薬の基盤を整備し、医薬品の開発過程を迅速化・効率化するための研究を推進し、製薬企業において医薬品等の開発につながるような成果を出すことで医薬品の創出の迅速化をめざすもの。
SDGs達成への貢献
大阪府立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。
本研究はSDGs17のうち、「3:すべての人に健康と福祉を」等に貢献しています。
関連情報
お問い合わせ
大阪府立大学 理学系研究科
教授 藤井 郁雄
Eメール fujii[at]b.s.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。