2020年4月新設「創薬科学副専攻」のカリキュラムが決定―バイオ医薬品開発で活躍できる人材を育成―
更新日:2019年12月2日
大阪府立大学が2020年度(2020年4月~)から、全学域生(解説1)向け「副専攻(解説2)」として新設する「創薬科学副専攻」のカリキュラムが決定しました。現在急成長を遂げている創薬研究・開発事情に対応し、国内外の製薬企業で活躍できるグローバルな創薬研究者、特に「バイオ医薬品」開発に従事できる優秀な人材の養成を目的に、最先端の医薬品開発に必要となる知識と技術を、学域の枠を超えて分野横断的に提供する教育プログラムです。
受講する学生は、薬学系学問に加え、創薬の一連の流れに即した概論やラボ実習(創薬関係の複数の研究室で実習を実施)を通じて、バイオテクノロジーを基盤としたゲノム創薬科学、抗体工学や薬物送達学などを学びます。
履修・開設予定科目等について
履修対象 | 全学域生(但し、2020 年度以降の入学生に限る。また、カリキュラムは創薬科学研究に関連の深い生命環境科学域、工学域を主な対象として編成) |
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定員(予定) | 1学年20名(希望者超過の場合は学業成績等による選抜を実施) |
修了要件 |
必修科目10単位、選択科目12単位(区分ごとの要件あり)合計22単位以上 (注意)詳細は次の図、「創薬科学に関する領域横断的研究分野・教育〈創薬の各ステージと取り組む分野〉」を参照。 |
授業特徴 |
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創薬科学に関する領域横断的研究分野・教育〈創薬の各ステージと取り組む分野〉
本図表は上部が創薬の段階を示し、下部がそれに関連する領域を示すものである。
創薬科学副専攻の科目と単位数について
- 「創薬科学副専攻の科目と単位数について」詳細(130KB)
プログラム担当教員のコメント
生命環境科学域 理学類 教授 藤井 郁雄
本学には薬学部がないため社会から十分に認知されていないが、創薬科学を学ぶ環境は整っている。薬事承認や治験といった創薬の出口までを理解した上で、戦略的に基礎研究のテーマを考えられる人材を育てたい。
生命環境科学域 応用生命科学類 教授 乾 隆
これからの創薬は、“バイオ医薬品”開発が中心となり、バイオテクノロジーを基盤とした専門的知識が必要である。本副専攻では、主専攻での専門知識に加えて、ゲノム創薬、抗体工学や薬物送達学などの専門知識を修得し、将来の創薬を担う研究者を育てる。
生命環境科学域 理学類 准教授 中瀬 生彦(2020年4月より教授)
創薬科学は、垣根を超えた学際的知識と研究技術の習得が必要と考える。そして起爆剤的な知の融合が、創薬研究での画期的な達成につながる重要な鍵となる。最先端、かつ、バランスのとれた学際知識・思考を育むプログラムを進めたい。
工学域 物質化学系学類 准教授 児島 千恵
創薬科学には、「ものづくり」を学問する工学域の知見も大いに役立つ。創薬研究のプロセス全体をしっかり理解して、真に創薬科学に貢献できる物質を考案・作製できる人材、自身の専門を創薬研究に活用できる人材を育てたい。
「創薬科学副専攻」新設の背景
現在、医薬品の世界市場では、「バイオ医薬品」の占める割合が急激に増加しています。
「バイオ医薬品」とは、バイオテクノロジーによって創り出されるタンパク質やペプチドの医薬品であり、2018年度ノーベル賞の対象となった抗体医薬「ニボルマブ」のように、がんなどの疾患領域において画期的な医薬品が開発されています。
「バイオ医薬品」を開発するためには、生命科学や医薬品化学の知識や技術とともに、微生物や細胞を利用した遺伝子組換え技術や細胞培養技術など、幅広い専門的技術と知識が必要となります。
用語解説
解説1 全学域生
「学域」は、大阪府立大学における学士課程。他大学の学部に相当。
解説2 副専攻
複数分野を学ぶことで広い視野に立った思考力を養うこと等を目的として、主専攻とする分野以外の専門科目を学ぶことができる大阪府立大学独自の教育プログラム。先行して、DDCフランス語コミュニケーション学、環境学、情報システム学、認知科学、経済学、グローバル・コミュニケーション、地域再生(CR)の7つの副専攻を開講している。
お問い合わせ
大阪府立大学 教育推進課 教務グループ(担当 井野、西尾、呉家)
072-254-9401