大阪府立大学

細胞の温度を見るための方法をマニュアル化に成功!―病態細胞の研究に貢献―

更新日:2019年3月27日

大阪府立大学の稲田 のりこ 准教授、新潟大学の福田 七穂 特任講師、甲子園大学の林 晃之 専任講師、東京大学の内山 聖一 助教のグループは、一つの細胞の中の温度の分布を可視化する、細胞内温度イメージング法について、詳細なプロトコール(実験マニュアル)を確立しました。

体調が悪いときにはまず体温を測ることからもわかるように、温度は生物の状態を知る上で、もっとも重要な物理量です。ガン細胞などの病態細胞は、一般的に代謝が高く、温度が高いと言われています。細胞の温度を測定し、解析する方法の確立は、病態細胞の仕組みの理解、検出、新規治療法の開発に貢献すると考えられます。

今回確立された細胞内温度イメージング法の詳細なプロトコールは、これらの応用研究、また、生命科学の基礎研究に大きく貢献することが期待されます。本研究成果は、「Nature protocols」オンライン版で、日本時間の2019年3月23日午前1時に公開されました。

論文タイトル「Temperature imaging using a cationic linear fluorescent polymeric thermometer and fluorescence lifetime imaging microscopy.」

本取り組みのポイント

動物培養細胞の温度イメージングの図

ポリマー型蛍光温度プローブ(左上)と蛍光寿命イメージング顕微鏡(右下)を 用いた動物培養細胞の温度イメージング(中央)

  • 細胞の中の温度をイメージングするための実験手順や注意点を詳細にまとめたプロトコール(実験マニュアル)を確立。
  • 温度は生物の状態を理解するためのもっとも重要な指標であり、細胞内温度イメージングは近年注目を集めているが、一般的なプロトコールが存在せず、多くの研究者がその確立を求めていた。
  • 今回確立されたプロトコールは、代謝が高く温度が高いガン細胞などの仕組みの理解、検出、新規治療法の開発に貢献すると期待される。

研究助成資金等

JST先端計測 分析技術・機器開発プログラム 要素技術開発(2010年~2014年、代表者:内山 聖一)、三菱財団自然科学研究助成(2013年~2015年、代表者:稲田 のりこ)、科学研究費補助金(基盤(C)16K07415、代表者:稲田 のりこ;基盤(B)17H03075、代表者:内山 聖一)

お問い合わせ

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科

准教授 稲田 のりこ

Tel 072-254-7494 Eメール norikoinada[at]plant.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。