公立大学法人大阪府立大学

電解液系電極材料の発熱メカニズムを解明―次世代リチウムイオン電池の開発に一歩前進―

更新日:2018年10月26日

研究成果のポイント

電解質の構造変化と正極活物質構造変化の説明図

  1. 電解液系リチウム電池用正極複合体が示す発熱反応には、電解質の分解反応が関与していることを透過型電子顕微鏡による直接観察によって明らかにしました。
  2. さらに正極複合体の発熱反応には、活物質の微粒子化に起因する脱酸素と有機溶媒との化学反応も関与している可能性があることが分かりました。
  3. 本研究成果は、次世代リチウムイオン電池の実用化に大きく貢献します。

概要

大阪府立大学(学長 辻 洋)の塚崎 裕文 特認助教、森 茂生 教授、林 晃敏 教授、辰巳砂 昌弘 教授と、群馬大学(学長 平塚 浩士)の森本 英行 准教授らは、JST(理事長 濵口 道成)戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発・特別重点技術領域「次世代蓄電池」(ALCA-SPRING)の一環として、電解液系リチウム電池用電極材料の熱安定性評価技術を確立し、その発熱反応のメカニズム解明に一歩前進しました。

近年、リチウムイオン二次電池は、大型化や高エネルギー密度(解説)化によって、電気自動車等の車載用電源としての応用が期待されています。しかし、一般的なリチウム電池には、可燃性の有機溶媒を用いているため安全性に課題があります。さらなる大型化・高エネルギー密度化を実現するためには、電池の発熱や発火等を抑制し、安全性の確保が極めて重要です。このため、電池材料の発熱挙動の評価や電池材料が示す発熱反応の要因を解明することが必要不可欠です。

本研究では、正極活物質LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(以下、NMC)からなる電解液系リチウム電池用の電極複合体に着目し、透過型電子顕微鏡(以下、TEM)を用いたその場観察によって、本材料が示す発熱反応の主たる要因について調べました。

本研究成果は「Scientific Reports」オンライン版で、日本時間の2018年10月23日に公開されました。

論文タイトル「Thermal behavior and microstructures of cathodes for liquid electrolyte-based lithium batteries (電解液系リチウムイオン電池正極の熱安定性と微細構造評価)」

用語解説

エネルギー密度

電池から取り出せるエネルギー量の値。単位質量、もしくは単位体積あたりにどのくらいエネルギーが詰まっているかを表した指標のことを言います。

お問合せ先

大阪府立大学 大学院工学研究科 物質・化学系専攻 マテリアル工学分野

特認助教 塚崎 裕文

Tel 072-252-1161Eメール h-tsukasaki57[at]mtr.osakafu-u.ac.jp [at]の部分を@と差し替えてください。

教授 森 茂生

Tel 072-254-9318Eメール mori[at]mtr.osakafu-u.ac.jp [at]の部分を@と差し替えてください。