現代システム科学域とは
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高等学校までの教科学習では、主要なものとして「国語、数学、外国語(英語)、理科、社会」がよく取り上げられます。今日では、どの分野においても重視される「外国語(英語)」は別として、一般的に「国語・社会」といった教科は「文系」として、逆に「数学」や「理科」などの教科は典型的な「理系」科目と見なされています。それでは、こうしたイメージからすれば、サステイナビリティを志向する「現代システム科学」は、いったい文系・理系のいずれに属するものなのでしょうか。そもそも、文系・理系といった区分は便宜的に設けられたものであっで、両者を明確に区分することが難しいジャンルも数多く存在します。「環境」を例にとって見れば、高等学校社会科の「倫理」教科書には「地球の生態系(エコシステム)を傷つけたり、かぎられた資源などを経済の発展や開発の名のもとに無制限に利用することは、人類の生存やさまざまな生物の存続を危うくする。」(濱井修・小寺聡『現代の倫理』山川出版社)といった記述があります。一方で、理科の「生物」では「生態と環境」という項目が教育内容として取り上げられています。「倫理」の科目では主に自然保護や環境倫理の問題が、「生物」の科目では個体群や生物群集や生態系に関する内容が中心に扱われますが、いずれにせよ「環境」に対する学習内容であることに変わりはありません。このように、それまでの学習を直線的に発展させていく研究内容とともに、さまざまな研究成果を総合的に捉えていくことによって、新たな問題に対処していくという方法も存在するのです。こうしたあり方を「学際(インターディシプリナリー:英interdisciplinary)」と呼んだり、あるいは文系・理系の枠組みを超えるものとして「文理融合」などと呼んだりすることがあります。「現代システム科学」は、まさにこうした「学際」的なアプローチを示しています。その意味で「現代システム科学」は、それこそ文系の側からでも、理系の側からでも対応が可能であるともいえますが、このことは決して従来の枠組みを否定するものではありません。大阪府立大学では、みなさんが各教科で学んできた内容を前提として、それぞれの得意分野を生かした分野での研究に従事できるように、カリキュラムの設計がなされています。また、文系クラス・理系クラスどちらに在籍していても、「現代システム科学」へのアプローチが可能な入試制度が用意されています。

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