現代システム科学域とは
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スーパーやコンビニに置かれた商品は、有名なメーカーのものがほとんどです。しかしよく目をこらして見ると、地元の小さな企業が作った地域にこだわった商品や、名前を聞いたこともないベンチャー企業が作った、環境に配慮した商品なども意外と多く置いています。現代は激動の時代です。大企業が作り出した商品がいつまでも売れ続けていく時代ではありません。消費者の好みはどんどん変化します。そのようなこだわりの商品を個人の力で作って売りだそうという人たちも現われています。彼らは自分の会社を起業して、自分の夢を追いかけようとします。たんに儲けだけを追求するのではなく、利益とやりがいと社会貢献をつなげるような会社を自分の手で作りたいという目標をもって起業する人もいるのです。消費者にヒットする商品がなぜ生まれるのかを知るためには、人々の購買行動の背後にある心理を知らなければなりません。そして、その心理のさらに背後には、現代社会における幸せとは何なのか、欲望を満たすだけで人間は豊かな生を送れるのか、人間が生きることの意味は何なのかという哲学や倫理の問いが隠されています。そして、商品開発においては、これ以上地球環境を破壊しないような物作りのシステムを作り上げることがどうしても必要でしょう。現代社会の「つながりの物語」は、このようにどこまでも果てしなく続いていきます。現代システム科学とは、現代における、この果てしのない「つながりの物語」を、自由な視点から、学際的に解明していく学問なのです。古代インドに生まれたゴータマ・ブッダは、「すべてのものは、つながりの中から生まれてくる。孤立して存在するものは、この世に何一つない」という世界観に到達しました。現代システム科学とは、このような「つながりの物語」を、現代的で新しい方法によって解明し、人々が幸せに生きていくことのできる地球社会を創造していくための学問なのです。

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