大学広報誌OPU Vol.02「紡」
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術は馬という動物をパートナーとして位置づけて、初めて競技が成り立つスポーツである。馬は当然のことながら彼ら自身の意志を持っているので、力づくで動かすことはできないが、馬と人間の調和次第では自由に動かすことができる。馬術をする上で何よりも大切なことは「どこまで馬と人間が一体になれるか」にかかっている。府大馬術部は半世紀以上の歴史と実績を持つ伝統のある部で、キャンパス内に広い馬場と11頭の馬を持つという恵まれた環境にある。現在の部員数は17名。部員たちは『気付制』といって1年生の時からほぼ一人一頭の馬を担当し、運動、手入れ、馬房の掃除などを行う。毎日接することで馬も人を信頼し、心を通わせることができるようになるわけだ。馬の食事は朝、昼、夕、夜の4回。毎日2人の部員が部室に泊まり込み、馬の管理と朝と夜の食事の世話をしている。「生き物を扱うので、休みは少ないし、苦労も多いです。しかし、馬とコミュニケーションをとりながら一緒に競技をして、あとで誉めてやると、うれしそうで満足げな様子なんですよ。馬術には他のスポーツでは味わえないような何とも言えない魅力があります」と太田さん。「馬は見た目の違いだけでなく、気性の荒い馬、おとなしい馬、ビビリの馬、叱るとヘコむ馬、馬嫌いで人間は大好きな馬などがいて、ほんと個性豊かで人間と一緒です」部員たちが馬に乗るのは火〜金曜の朝と、土日にはコーチを招いて練習しているが、個人的に空いている時間に練習する人もいる。もちろん1年次から乗馬経験できるので、ほとんどの部員が初心者だが4年生にもなれば思い通りに馬を動かせるようになる。2年生の夏休みには北海道・襟裳で夏合宿、毎年冬には学内で冬合宿が行われる。北海道では道産子に乗って野原を疾走し、冬合宿では結束力を高め、障害の練習も重点的にする。合宿は部員たちにとって生涯忘れがたい素晴らしい体験となるようだ。「府大の馬術部が恵まれているのは、バックに獣医学科が控えていることです。体調の悪い馬をすぐに治療してもらえますし、おまけにコーチも総監督も獣医さんなんです」人馬一体をめざして練習に励む部員2▲取材当日は、練習が休みだったので、会議に来ていた部員が集合。部員は、ほぼ男女半々。上下関係を超えてみんな仲がいい。馬馬と心を通わせて『人馬一体』となり、ひとつの競技を成し遂げ、結果を残せたときは、何ものにも代えがたい達成感と感動があります。太田康博さんYasuhiroOta農学部(現:生命環境科学部)応用生物化学科4年生http://www.geocities.jp/opu_equestrian_team/▼全日本学生馬術大会で、浪翠(なみみどり)に乗る香川大二郎さん(獣医学科4年生)。馬術部▲阪神学生馬術大会には、8人の部員と10頭の馬が出場。たちの一番の目標は、全日本学生馬術大会への出場と、結果を残すことだ。平成18年度は、夏に予選通過した1名が出場した。「日々、向上心を持って」をテーマに、独立した意志を持つもの同士がひとつとなって挑む馬術というスポーツ。騎乗練習中は厳しいが、馬の手入れや宿直は上級生や下級生の区別なく分担し、部費捻出のための競馬場バイトも全員で取り組んでいる。競技会での勝敗から得る以上のものを、部員たちは馬術を通じて学び取っているようだ。39

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