大学広報誌OPU Vol.02「紡」
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人が韓国語を学ぶときに最初に苦労するのが、韓国語の無声音の発音だそうだ。「韓国語の無声音には、平音、濃音、激音の3種類があります。この使い分けで、平音で発音したら『お月さま』の意味の言葉が、濃音では『娘さん』、激音では『仮面』になります。難しいようでも発音は慣れですから、学生たちは上手に発音しますよ」言語の並び方は非常に似ている韓国語と日本語だが、発音は微妙な違いがあり、話す内容に至っては文化の差から誤解を生じることもあるようだ。「たとえばプレゼントをいただいたとき、日本人は必ず『ありがとうございます』と言います。でも韓国人は、ありがとうにあたる『カムサハムニダ』を言わないので、日本人は驚きます。韓国人はありがとうという言葉を使わずに、もっと別の表現をするのです」韓国人は具体的な言葉を使うという。「これをおいしく頂きます」「美しいですね、大切に使います」といったように。柔らかく包んで表現する日本語と、直接的な表現を好む韓国語。日本と韓国は言葉も文化も似ているようで、細かな違いはたくさんある。そんな違いを発見することも、外国語を学ぶ楽しさのひとつだろう。また、車准教授は日本語と韓国語の「色の持つイメージ」についても授業でよく話をするという。「日本では、犯人を捜しているとき、あの人は『白』だとか『黒』だとか言いますが、韓国では使いません。でも、人生経験の少ない若い人のことを『青い』と言う表現は使うので、この部分は共通しています」外国の言語を学ぶことは、異文化を学ぶことでもある。語学教育に携わる車准教授が望むのは、日本人学生が韓国語を勉強し、韓国の文化に触れることで、日本をもう一度見つめ直してみる機会を持つことだ。「それがきっと人間としての成長につながります」高いレベルを求める人のために「表現・読解」を開講している。韓国語を担当する車准教授は、「日本人は外国語に対する苦手意識が強いようですが、まずそれをなくすことが大事です。外国語を学ぶことは楽しいし、学べば学ぶほど外国語のおもしろさが分かります」とアドバイスする。また、車准教授自身も大阪に来た当初、その独特の表現と会話の早さに戸惑ったものの、今では、大阪弁は活気があって、テンポもとてもおもしろく大阪のお笑いも研究対象として興味を持っていると語る。外国語の勉強の成否を分かつのは、楽しさを見つけることができるかどうかだ。初修外国語の授業は1年生を対象にしているが、楽しさを発見した学生は2年次もさらに高いレベルを求めて履修を続けていく。車准教授の専門は、現代韓国語学、日韓対照研究だ。13年間にわたり日本の大学で韓国語を教えてきた車准教授によれば、日本総合教育研究機構総合教育研究機構車 美愛准教授Miae ChaProfile1994年大阪府立大学講師に赴任。2000年に総合科学部助教授。2001年~2002年、在外研究員(ロンドン大学、SOAS校)。2005年、改組により現職に。専門の韓国語を通しての社会貢献と国際交流に関心がある。趣味は旅行、スポーツ観戦。大学に入学して英語以外の言語、これまで知らなかった外国の言葉を学べることは、素晴らしいチャンスではないだろうか。国際社会の一員として積極的に世界に目を向けなければならない今、外国を理解するためには、その国の言葉をまず理解することが大前提になる。5つの初修外国語科目では、「基礎」で各言語の基本的なしくみを学び、「会話」で聴いて話す練習をし、さらに言語の勉強を通じて異文化に触れる。苦手意識を捨てて、楽しく外国語を学ぼう!大阪府立大学の新入生は、どの学部に入学しても、まず全員が教養科目・外国語科目・専門基礎科目など総合教育研究機構が開講する科目を選択し、人間力を育むと同時に、学部で専門分野に進むために必要な基礎知識と技術・能力を修得する。外国語科目は英語と初修外国語に分かれ、初修外国語はドイツ語、フランス語、中国語、朝鮮語韓国語(以下、韓国語と略)、ロシア語を開講。少人数制で、外国語の基礎的な能力が身につく授業が行われている。知らない言葉を学ぶことは楽しいこと近いだけに誤解も生じる日本と韓国の文化の差韓国人は詩が大好き。授業では、気持ちを入れて詩を朗読する。「韓国語に自信がないときは、最初に日本語訳を声を出して読んでから原文を読むとうまくいきますよ」29

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