大学広報誌OPU Vol.02「紡」
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ワーク、生物の進化をモデルにした遺伝的アルゴリズムなど、計算知能と総称される枠組みを用いた新しい知的コンピュータシステムの開発です」と語る石渕教授。たとえば、『生物の進化をモデルにした遺伝的アルゴリズム』とは、キリンの首が長くなる、北極熊の体が大きくなるといった生物の進化をまねて、コンピュータのプログラムを作り、人工的に進化をくり返させながら、最適な解を求めていこうというものだ。こうした計算知能と呼ばれるコンピュータシステムは、従来の人工知能(AI)の考え方とはまったく異なる。人間のチェスの世界王者と、コンピュータが戦うというプロジェクトがある。そこでは、技術者がコンピュータにチェスを一生懸命教え込み、AIを作っていく。石渕教授が取り組んでいるのは、「コンピュータに自分たちで賢くなっていってくれませんか」という研究。「人間がチェスをしながら次第に強くなっていくように、コン工学部工学研究科石渕久生教授Hisao IshibuchiProfile1994~1995年、文部省在外研究員(トロント大学)。1997~1998年、日本学術振興会特定国派遣研究員(トロント大学)。1999年に大阪府立大学工学部経営工学科教授、2000年に工学研究科教授、2006年に大阪府立大学計算知能研究所所長(兼任)に就任。博士(工学)。趣味はスキー、水泳、アメフト観戦。960点。「私の研究は、あいまいさを含む言語を取り扱うことのできるファジィシステム、脳の学習メカニズムを模擬したニューラルネット自ら学習・進化していく!しなやかで高度な知能を持つ知的コンピュータシステムの開発。ソフトコンピューティングとは、あいまいで複雑な現実の現象そのものを対象とし、人間が行うような柔軟な取り扱いをする、しなやかで新しい情報技術体系である。石渕教授は、ソフトコンピューティングや計算知能のエキスパート。進化計算の分野で最も権威ある国際会議において、日本人として初めてベスト・ペーパー賞を受賞したほか、多くの国際会議のプログラム委員や英文論文誌の編集委員も務めている国際的な研究者である。コンピュータが、自分たちで学習しながら賢くなっていく理想的な形をもつピーマンを作りだすシミュレーション。学生の国際会議発表のチャンスも多い石渕研究室。このうち6名は海外での発表経験者。工学部工学研究科13

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