高度人材センターご案内
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元高等教育推進機構高度人材育成センターコーディネータ松田 元伸企業での長い研究開発業務と大学での産学連携活動を活かし、本プログラムの開始時期から各種プログラム運営の統括推進を担当TECカリキュラムで、松井:本学は公立大学ですから、地域に貢献していく人材育成を教育の一つの柱としており、従来から博士をはじめとする高度人材が産業界に進出する割合は一定数おりました。それをさらに伸ばし、産業界で活躍するための付加価値の高い人材育成に特化していこうという狙いがありました。そこで、学生の素養を高めるカリキュラムとして、4つの演習内容を設定し、その中でインターンシップも行っています。博士後期課程の学生・ポスドクだけではなく一部のカリキュラムは博士前期課程(修士)の学生、学域生、社会人の方も受講可能なものとしています。毎年約500名が受講しています。松田:企業でどうやって商品が生まれるかをバーチャルな形で体験していく「ビジネス企画演習」が特徴的です。どんな商品ができるのか、そのためにはどんなマーケットがあり、ライバル社はどこか、コストは、必要人員は…と、実際の事業さながらの企画・プレゼンを行っていきます。アイディアベースではなく、自らの専門を新たな発明につなげていくため、これまで10件の特許申請を検討し、5件を出願しました。ともすれば自分の研究だけに没頭してしまいがちな学生に対し、広い視野を与えて企業の発想に落とし込む機会となっていますし、他には例を見ない本学オリジナルの演習だという声もいただいています。松井:過去13年のカリキュラム履修者は、博士後期課程の学生が544名で、2021年3月時点で民間企業に就職・内定した博士、ポスドクは169名です。 また、ポスドクについては75名が長期インターンシップを経験し、うち民間企業就職は50名でアカデミア6名で、残り19名は、プログラムに参加してインターンシップも経験しましたが、それでもやはりポスドクの道を選んだ者ですので、それは本人の意思として尊重しています。松田:単位認定研究インターンシップは理系研究科の博士後期課程の一般学生の約12%におよぶ63名、ポスドクはプログラム受講者75名全員を派遣しています。その内、博士課程学生は45名、ポスドクは50名が就職を実現しており、就職先はインターンシップ先もありますし、もちろん別の企業も含まれます。学生は在学者と不明者を除く58名の内78%が企業に就職したことになり「これは高い数字だ」と評価をいただいています。 本人の研究分野もありますし希望や適性もありますから、一人ひとりと面談してしっかりと話し合い、マッチングさせることを意識しています。松田:これまで企業に就職した学生については、個々に深く関わっているためにそのどれも1例1例印象強く覚えています。例えば、大手バイオ系企業に就職したAさんという女性ポスドクの例です。実はもともと企業側から「今年度は採用の予定がない」と言われておりました。しかしAさんの希望もあり、「インターンシップだけでも」とお願いしてどうにか派遣をしました。いざ研修がスタートすると、企業が持ち合わせていなかった幹細胞分析などの技術が評価され、合わせてインターン生ながらリーダーシップを持って事業を牽引し、チームワークを円滑にする人間性も高く認めていただいたのです。そして研修終了間近に企業側がわざわざ足を運んでくださって「採用予定がないと言った言葉を撤回させてほしい」と採用の通達を頂きました。本人の喜びも私たちスタッフの喜びも非常に大きかったですね。 また、電機メーカーに就職したBさんは、メーカーが新たに電気を用いた植物工場を立ち上げるということで「バイオ的な能力を持った人材を」と要望されておりましたが、その一方で「実用化に至らない場合、せっかくの専門性を活かせない可能性もある」と採用を躊躇されておりました。しかし、インターンで「専門分野にとどまらず広い視野と応用力があり、この人材ならどの部署でも活躍できる」と太鼓判を押していただきました。現在は見事工場の立ち上げに成功し、希望分野で活躍しています。「高度人材育成センター」の設立背景と概要を教えてください。Q産業界に送り出してきた人材で、印象に残った例を教えてください。Q個別のサポートが素晴らしい成果につながっているのですね。Qプログラムの中で、これぞ!という特徴的なものを挙げてください。Qセンター設立から13年経ちましたが、これまでの実績をお聞かせください。Q08

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