平成30年度版(平成29年度報告)環境報告書
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第2章 環境研究・環境教育 Q 増田先生が関わってこられた中百舌鳥キャンパスの整備について、コメントをお願いします。 ランドスケープの観点から、キャンパス整備についてアドバイスをさせていただいたことがあります。 中百舌鳥キャンパスには広大なスペースがあります。風景を創るという点から考えると、アップダウンのある方が創り易いのですが、フラットな中百舌鳥キャンパスではどのようにするかということに腐心しました。 白鷺門から奥に向かってまっすぐの「白鷺門通り」に沿って幅の広い緑地軸があります。これは私の先輩である造園学の堤先生が東京・武蔵野丘陵の風景を再現したいとの想いが基になって整備されたものと聞いています。先人の考え方も大事にしながら、それをどう伸ばしていくかかがポイントでした。 また、国道310号線沿いの緑についても開放的で、周辺住民が触れ合えることを実現しようと考えました。 樹木は手入れをしないと成長しないものです。日々の手入れ、枝抜きの方法等もアドバイスをしました。樹木の密度管理は緑を守り、育てるために大事な点です。 Q キャンパス内の景観デザインに対するアドバイスをお願いします。 “グリーンモール”、“緑のトンネル”と呼んでいるところがありますが、緑の景観だけでなく、舗装パターンやカラーコーディネートとの関係性を大事にしながら、一定の統一感を持ち、かつ変化性をどのように達成するか。画一的ではなく、バラバラでもダメです。色も含め、適度な変化性をどのように達成するかということをアドバイスしました。 Q 定年退職を迎えられた心境をお聞かせください。 第21回気候変動枠組条約締結国会議(COP21)で合意されたパリ協定では、21世紀中葉にCO2の排出を実質ゼロにすることになっています。その対策の中で緑や公園緑地の果たす意義は大きい。緑地計画学を専門としてきた者としては、緑の持つ効用をきっちりと理解し、大きく展開させることを後輩に期待したいと思います。私自身もこれまでの経験を生かして社会貢献を続けたいと考えています。 Q 最後に協調されたいメッセージがあればお願いします。 広大な中百舌鳥キャンパスの中で研究や学生生活を送ること、学習できることに“愛着と誇り”を持ってキャンパスと接してほしいと思います。 日々、緑を守り、育て、自らの環境を持続的に成熟させてしていくという姿勢が重要で、これが私のメッセージです。 インタビューを終えて 30分余りの短い時間の中でのインタビューでしたが、増田先生の長い教育研究生活やこれまでに果たしてこられた業績の一端をお聞きすることができました。そして、何よりも増田先生の温かさ、優しさを感じたインタビューでした。 「愛着と誇りを持ってキャンパスと接してほしい」というお言葉が耳に残っていますが、増田先生ご自身が最も“愛着と誇り”を持っておられ、今後もご活躍されていくと思いました。 担当:高木 直輝(E~きゃんぱすの会) 松田 茉夕(E~きゃんぱすの会) 環境教育研究センター事務局 白鷺門通りグリーンモール 学館前広場の舗装パターン 19大阪府立大学環境報告書

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