生命環境科学域 理学類/大学院理学研究科 2019
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生物機能生生・多様性科学分子細胞生物学分分生体分子科学生生分野紹介3つの研究分野新しい薬のかたちを求めて:分子標的ペプチド医薬(ブルー)による顆粒球コロニー刺激因子/受容体(ピンク)相互作用の阻害休息中のキアゲハ。キアゲハの成虫には、羽化する時期によって形態が異なる季節多型が存在する。夏に羽化する夏型は春に羽化する春型よりも大型で翅の黒色部分の割合が高いだけでなく、行動にも違いが見られる。ペプチドやタンパク質などの生体分子やその集合体を、分子レベルで解析して構造と機能を理解する研究を行っています。これは、生命現象の解明や、薬など有用物質の開発にもつながります。酵素や受容体などのタンパク質の分子構造を明らかにして、化学反応の触媒や情報伝達の仕組みが詳しく理解できると、病気の発症機構の解明、薬物のデザイン、特定の細胞への薬物送達、天然の酵素や受容体より優れた人工タンパク質の創出などが可能になります。さらには、ペプチドや低分子量の有機化合物を用いて、タンパク質の機能を模倣しつつ、細胞内の生理機能を調節することも可能になります。このように、生体分子を知り、利用し、これを超える分子を創るための研究を行っています。分子細胞生物学分野では、細胞の構造と機能、細胞から成る組織や器官の役割、形成機構、制御機構を理解する研究を行っています。動物・植物・微生物など、すべての生物は細胞を基本構成単位とし、その振る舞いは細胞の増殖、分化、運動、形態形成、刺激応答、情報伝達などさまざまです。この分野では、細胞、組織、個体など比較的高次のレベルでの生物の振る舞いを良く観察するとともに、これらの生命現象を決定する遺伝子の構造と働きをあきらかにすることにより生物らしさの本質に迫ります。また、酸化ストレスや環境汚染物質などの影響とこれに対する生体防御の機構を解明するための研究にも取り組んでいます。個体レベルや集団レベルでの生物の行動と多様性を、生物間および環境との相互作用から理解する研究を行っています。多くの生物は、祖先から受けついだゲノムを含む受精卵から発生・成長し、子を残し、一生を終えます。その過程では、ゲノム上の遺伝子から読み取られる情報を基に細胞内で起こるさまざまな化学反応が生命を支えています。その一方、多くの生物個体は、環境への適応によって生存と繁殖を可能にし、個体群は他の多くの個体群と相互作用して生物群集・生態系を形づくり、適応度を高める形質や行動が進化してきました。この分野では、理論と実験と野外観察により、光や重力などの外部刺激に対する植物の応答や、成長・発達の調節、光合成の仕組み、多様な環境に応じた微生物の菌叢、生物の個体数変動、種組成や個体群の特性の地理的変異などを研究し、生物の適応や多様性の維持機構、地史と生物進化の関連を解明することを目指して研究に取り組んでいます。生体分子科学分野分子細胞生物学分野生物機能・多様性科学分野25

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