総合リハビリテーション学類パンフレット2021
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●13●パラリンピック選手強化のための研究現在、日本パラリンピック委員会の医・科学・情報サポート推進委員として、バイオメカニクスを用いた選手強化のためのプロジェクトのリーダーを務め、三次元動作解析や筋電図解析、座圧分布測定といった、様々な手法を用いて選手強化につながる研究を行っています。また、一般社団法人日本ボッチャ協会の代表者も務めており、様々なパラリンピック競技の中でも、特にボッチャ選手強化のための科学的な取り組みを実践しているので、その一部を紹介します。これらはスポーツをしていない重度障がい者の身体機能向上や用具開発のためにも有益な研究であると考えています。認知症は高齢化社会の中で大きな問題となっています。治療方法が確立していない現在、いかに発症を予防するかが重要です。認知機能低下を予防する食品がないかをマウスを用いて探索し、黒酢摂取が有効である可能性を見出しています。黒酢は熱ショックたんぱく質を増加させ、脳内の炎症を抑制することで認知機能の低下を抑制していると考えられます。黒酢中有効中の成分を探索する過程で、黒酢に高濃度に含まれる乳酸などの有機酸に着目し、その効果の分子メカニズムを検証し、臨床応用を目指した研究を行なっています。ボッチャ選手へのバイオメカニクスサポートとトレーニングの実践大阪府立大学を重度障がい者アスリートの強化拠点とし、ボッチャ選手の強化に取り組み、投球フォームの解析や投球時の座圧分布測定、運動効果の検証などを実施してきました。これらの研究をもとに、重度脳性麻痺者を中心とするボッチャ選手に対し、独自のトレーニングプログラムを実施しています。教員研究レビュー総合リハビリテーション学研究科 生活機能・社会参加支援系領域総合リハビリテーション学研究科 栄養支援系領域黒酢が認知機能低下を予防するメカニズム奥田 邦晴教授叶内 宏明 准教授本学を表敬訪問した選手たちと投球時の車椅子の位置の評価座圧分布測定これらの取り組みの結果、リオデジャネイロパラリンピックでの銀メダル獲得に大きく貢献しました!!モリス水迷路の結果図はゴールに到達するまでの時間。トレーニングを重ねるとゴールまでの時間が短縮(オレンジ)するが、認知症発症マウスでは短縮が起きない(白丸)。認知症発症マウスに黒酢を摂取させるとゴールまでの時間がやや短縮した(黒丸)。熟成とともに色が褐色になる黒酢モリス水迷路ゴールを目指して泳ぐマウス

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