天の川銀河の腕間にて巨大フィラメント状ガス雲を発見、そして星団形成の起源を解明!
更新日:2022年3月29日
大阪府立大学 藤田 真司 研究員、名古屋市科学館 河野 樹人 学芸員、国立天文台野辺山宇宙電波観測所 西村 淳 特任准教授を中心とする研究グループは、野辺山 45m 電波望遠鏡を用いて、天の川銀河の腕間に位置する大質量星形成領域「こぎつね座(解説1)OBアソシエーション」に対する大規模な分子ガス雲の観測を行いました。
観測の結果、この領域で長さ100光年にわたる巨大フィラメント状分子ガス雲の存在を初めて明らかにしました。さらに、この領域に付随する分子ガス雲の解析から、フィラメントを含むガス雲同士の衝突が、若い星団を生み出すきっかけになったと考えられます。
本研究は、天の川銀河の分子雲観測プロジェクトFUGIN(解説2)の拡張観測にも対応しています。 今後、天の川銀河全体の分子ガス雲のより詳細な解析を行うことで、腕間と渦巻き腕の分子ガス雲の性質の違いが明らかにできると期待されます。
本研究は、2022年2月発行の日本天文学会欧文研究報告「Publications of the Astronomical Society of Japan」に掲載されました。
論文タイトル「Nobeyama 45 m Local Spur CO survey. I. Giant molecular filaments and cluster formation in the Vulpecula OB association」
用語解説
解説1 こぎつね座
こぎつね座は、17世紀にポーランドの天文学者へヴェリウスによって作られた星座で、夏の大三角の中間部分に位置しています。4等星以下の暗い星からなっていて、亜鈴状星雲 (M27)がこの星座に含まれています。
解説2 FUGIN
FUGINは、2014年~2017年にかけて野辺山 45m 望遠鏡を用いて天の川銀河の分子ガス雲の広域観測を行ったプロジェクト。2018年にデータが公開され、世界中の研究者によって、研究が進められています。
関連情報
- 天の川銀河の腕間にて巨大フィラメント状ガス雲を発見、そして星団形成の起源を解明!(国立天文台 野辺山宇宙電波観測所 NOBEYAMA Webページ)
- FUGINプロジェクト(国立天文台 野辺山宇宙電波観測所 NOBEYAMA Webページ)
お問い合わせ
大阪府立大学 大学院 理学研究科 宇宙物理学研究室
研究員 藤田 真司(ふじた しんじ)
Tel 072-254-9726Eメール fujita[at]p.s.osakafu-u.ac.jp [at]の部分を@と差し替えてください。