大阪府立大学

白胡椒に含まれるピペリンが多剤耐性菌に抗菌活性を示すことを確認

更新日:2022年2月10日

大阪府立大学(学長 辰巳砂 昌弘)大学院 生命環境科学研究科 獣医学専攻 教授/アジア健康科学研究所 所長/大阪国際感染症研究センター 所長 山崎 伸二(やまさき しんじ)と博士課程 Goutham Belagula Manjunath さん、兵庫医療大学(学長 藤岡 宏幸) 薬学研究科 研究科長/教授 青木 俊二 氏とインド国立コレラ及び腸管感染症研究所(所長 Shanta Dutta)のT. Ramamurthy 博士らの研究グループは、白胡椒のメタノール抽出物の多剤耐性菌(解説1)に対する抗菌活性(解説2)について調べました。

その結果、メタノール抽出物が多剤耐性菌を含むコレラ菌に対して抗菌活性を示すことが明らかとなり、その主成分は白胡椒に含まれるピペリンであることを解明しました。また、ピペリンは、様々な種類のコレラ菌に対して抗菌活性を有するのみならず、院内感染で問題となっている多剤耐性緑膿菌や、2011年にドイツを中心にヨーロッパで死者48人の集団食中毒事件の原因菌となった腸管出血性大腸菌O104に対しても抗菌活性を有することを示しました。

この成果は、院内感染で問題となっている多剤耐性菌や食中毒予防等、細菌感染症対策に役立つことが期待されます。

なお、本研究成果は、学術雑誌「Letters in Applied Microbiology」に2022年2月9日付けでオンライン掲載され、Editor’s Choiceに選出されました。

論文タイトル「Piperine, an active ingredient of white pepper suppresses growth of multidrug resistant toxigenic Vibrio cholerae and other pathogenic bacteria」

(注意)本資料は掲載論文の内容をもとに作成しています。図は論文の結果から一部抜粋。

白胡椒に含まれるピペリンが多剤耐性菌に抗菌活性を示すことを確認

図 ピペリン非存在・存在下で培養したコレラ菌をDAPIとPIで染色(ピペリンの抗菌活性は、菌を生きているが培養できない状態にするのではなく殺菌的に働いていることを示す)

本研究のポイント

  • 白胡椒に含まれるピペリンは、200 µg/mL の濃度で多剤耐性コレラ菌、多剤耐性大腸菌、多剤耐性緑膿菌に対して2時間以内にそれぞれの菌数を10万分の1以下に低減させることが明らかに。
  • ピペリンの抗菌活性は、菌に対して、生きているが培養できない状態(VBNC状態(解説3))へ誘導するのでなく、殺菌的に働くことを解明。

SDGs達成への貢献

SDGsアイコン

大阪府立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献しています。

本研究はSDGs17のうち、「3:全ての人に健康と福祉を」に貢献しています。

用語解説

解説1 多剤耐性菌

多くの種類の抗生物質に耐性を示し、感染・発症すると治療が困難となる菌。

解説2 抗菌活性

細菌の増殖を抑制するか死滅させる活性。

解説3 VBNC状態

細菌は生きてはいるが、培養しても増殖できない状態の細菌。

関連情報

お問い合わせ

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科

教授 山崎 伸二

Eメール shinji[at]vet.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。