大阪府立大学

生活習慣病の予防をめざす! 肝臓におけるインターロイキン-19の新しい役割を解明

更新日:2022年1月14日

本学大学院 生命環境科学研究科 獣医学専攻の東 泰孝 教授らの研究グループは、インターロイキン-19(解説1)遺伝子欠損マウスを用いて非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の疾患モデルを解析することにより、対照群である野生型マウスと比べて、肝線維化などのNASH病態が悪化することを発見しました。

メカニズムとして、インターロイキン-19が肝臓において中性脂肪の生成に抑制的な役割を担うことも発見したことから、合わせて、インターロイキン-19は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)(非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の二つに分けられる)の病態進行に対して抑制的な役割を担うことを発見しました。

この成果は、生活習慣病の予防に向けた新しい作用点として期待されます。

なお、本研究成果は、スイスの学術誌「Cells」に2021年12月13日付けで掲載されました。

論文タイトル「IL-19 Contributes to the Development of Nonalcoholic Steatohepatitis by Altering Lipid Metabolism」

論文掲載誌「Cells」(MDPI Webページ)

肝臓におけるインターロイキン-19の新しい役割の説明図

本研究のポイント

  • インターロイキン-19遺伝子欠損マウスにおいて、コリン欠乏メチオニン添加高脂肪高コレステロール飼料にて2ヶ月間飼育したところ対照群である野生型マウスと比べて、肝線維化が増悪することを発見。
  • 機構として、インターロイキン-19は肝実質細胞において中性脂肪の生合成を抑制することを発見。
  • インターロイキン-19のシグナル伝達経路を活性化させることで生活習慣病の予防に活用することが期待される。

SDGs達成への貢献

 

大阪府立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。

本研究はSDGs17のうち、「3:すべての人に健康と福祉を」に貢献しています。

用語解説

解説1 インターロイキン-19

インターロイキン-19は、インターロイキン-10ファミリーに分類され、マクロファージ、上皮細胞、ケラチノサイト、血管平滑筋細胞から主として産生されることに加えて、他にも多くの細胞種から産生される多機能なサイトカインである。炎症性腸疾患や皮膚炎などの炎症性病態に対しては抗炎症性作用を示すことがわかっている。

関連情報

お問い合わせ

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科

教授 東 泰孝

Eメール azuma[at]vet.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。