大阪府立大学

本学 理学研究科 神川教授が日本化学会「学術賞」を受賞!

更新日:2022年1月4日

2021年12月22日(水)、公益社団法人 日本化学会が、2021年度各賞(日本化学会賞、学術賞、進歩賞、女性化学者奨励賞、化学技術賞、技術進歩賞、化学教育賞、化学教育有功賞、化学技術有功賞、功労賞)受賞者を発表し、大阪府立大学大学院 理学研究科 分子科学専攻の神川 憲教授が、「第39回 学術賞」を受賞しました。

「学術賞」は、化学の基礎または応用の各分野(物理化学系、無機・分析化学系、有機化学系、材料化学・高分子化学系、天然物化学・生体関連化学系、複合領域)において先導的・開拓的な研究業績をあげた研究者を授賞対象としています。

受賞者のコメント

大阪府立大学大学院 理学系研究科 分子科学専攻 教授 神川 憲

神川先生の写真この度は、栄えある2021年度日本化学会学術賞をいただけることとなり、ご推薦いただいた先生をはじめ、関係の諸先生方に厚く御礼申し上げます。また、このような機会に恵まれたのも、研究室の学生諸君、スタッフの津留﨑先生、ならびに共同研究者の方々のご尽力あっての賜であり、この場をお借りして深く感謝申し上げます。

これまで、「想いを分子(かたち)に」をモットーに、私達が「美しいと信じる分子」をどのようにスマートに創るかにこだわって、受賞対象となったらせん状π共役分子の合成研究を行ってきました。「こんな分子ができたらカッコイイよね」から始まるアイディア(妄想)に対して、どうやったら最短距離でたどり着けるかを試行錯誤する過程で、達成することが難しいとされていたいくつかの壁をなんとか乗り越えることができました。また、高い目標を掲げ、その実現に一緒に頑張ってくれた学生諸君が、研究を通じて頼もしく成長していく姿にふれることができたことも、今回の受賞と同様に大きな喜びの一つになっています。

さて、今年4月に開学する大阪公立大学は、世間からの注目も高くさらなる飛躍が期待されています。このような状況のもと、新大学におけるサイエンスの成果発信に少しでも貢献できるように、本受賞を励みにより一層精進して参りたいと思います。

受賞対象となった研究内容

遷移金属触媒を活用したヘリセン、および多重ヘリセンの立体選択的合成に関する研究

近年、らせん状多環芳香族炭化水素であるヘリセンは、その曲がったπ共役構造に由来する特異な電子的・光学的特性、およびらせん不斉を内在する分子骨格など構造化学・合成化学の観点から注目を集めている重要な化合物群です。その合成において、独自のアプローチにより新規らせん分子骨格を有するヘリセン、および複数のらせん構造を有する多重ヘリセン類の立体選択的合成を達成しました。

らせん状π共役分子であるヘリセンの効率的合成法を開拓するという反応開発に加えて、構造化学の観点からも重要な世界最多重度を有する六重ヘリセンの立体選択的合成、およびアライン化学にブレイクスルーをもたらした実践的な触媒的不斉合成による光学活性多重ヘリセンの合成などを達成した点において高く評価されました。

関連情報

お問い合わせ

大阪府立大学大学院 理学系研究科

教授 神川 憲

Tel 072-254-9721 Eメール kamikawa[at]c.s.osakafu-u.ac.jp [at]の部分を@と差し替えてください。