大阪府立大学

理学系研究科 教授/LAC-SYS研究所 所長 飯田 琢也が「2021堀場雅夫賞」を受賞!

更新日:2021年9月6日

株式会社堀場製作所は7月28日に「2021堀場雅夫賞」の受賞者を発表し、本学LAC-SYS研究所の所長でもある本学大学院 理学系研究科 物理科学専攻 教授 飯田 琢也が受賞しました。

「堀場雅夫賞」は画期的な分析・計測技術の創生が期待される研究開発に従事する国内外の研究者・技術者を支援し、科学技術における分析・計測技術の価値をより一層高めることを目的として2003年に設立。「2021堀場雅夫賞」の選考テーマは「ライフサイエンス分野の中でも特に、先端の創薬および製薬に寄与する分光分析・計測技術」。 飯田教授の研究「マイクロフロー光誘導加速による革新的バイオ計測技術の開発」について受賞されました。

受賞者のコメント

大阪府立大学 大学院 理学系研究科 物理科学専攻 教授 飯田 琢也

飯田先生の写真このたびは栄えある堀場雅夫賞の2021年度の受賞者にお選びいただき、関係者の皆様に厚く御礼申し上げるとともに、多岐に渡るご支援を賜った共同研究者の先生方、研究室のスタッフならびに卒業生・現役生の皆さんに心から感謝申し上げます。

受賞対象となった研究成果は、もともと光物性理論を生業としていた私が、分析化学や光物理化学、生物科学を専門とする異分野の先生方との共同研究を通じて始めた「生化学反応の光誘導加速システム(Light-induced Acceleration System; LAC-SYS)」の原理解明と、それに基づくハイスループットなバイオ計測技術に関するものです。特に、その中心となるマイクロフロー型LAC-SYSを基礎として、がんや感染症などの超早期診断法のプラットフォーム構築をめざすテーマが国の大型プロジェクトとしても採用され、研究開発を加速しているところです。

LAC-SYSは医療診断・創薬・食品検査・環境計測など幅広い応用が期待できる技術ですので、世界中の皆さんが「明るく、楽しく、元気よく」過ごせる未来社会の実現に向けて引き続きベストを尽くす所存です。

受賞対象となった研究内容

〈飯田 教授のテーマ〉マイクロフロー光誘導加速による革新的バイオ計測技術の開発

医療や創薬・公衆衛生などの分野では、タンパク質や糖、疾患の原因となる物質や細菌など、生体由来試料の測定が不可欠です。しかしながら、従来の測定法は煩雑な操作が必要なことが多く、高度な技術や高価な測定装置、長い実験時間が必要になるといった課題がありました。

飯田教授は、液体中の光応答性材料(基板、粒子)に光を照射すると周囲にあるタンパク質などの生体物質が光照射により生じる圧力や対流により集光部に向かう現象を利用し流路内の狭小空間で測定対象を濃縮・反応加速して測定するマイクロフロー型の光誘導加速システム(LAC-SYS)を開発しました。このシステムにより、従来法と比べて数十~数百倍高感度な測定が可能になり、極微量(fg〈注〉オーダー)のタンパク質をわずか数分間で定量評価することに成功しました。

本技術は医療や食品など様々な分野での幅広い応用が期待され、医薬品開発におけるスクリーニングや個別化医療における患者ごとの病態把握などが迅速・簡便にできるようになると考えられます。

〈注〉fg は1gの1,000兆分の1の単位。

関連情報

お問い合わせ

研究推進機構 21世紀科学研究センター LAC-SYS研究所

所長 飯田 琢也

Tel 072-254-8132
Eメール t-iida [at] p.s.osakafu-u.ac.jp [at]の部分を@と差し変えてください。