本学教員の新型コロナウイルス感染症に対する研究がAMED 「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」に採択
更新日:2021年3月26日
本学 理学系研究科 生物科学専攻の藤井 郁雄教授の研究開発課題が、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(以降、AMED)の令和2年度 「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する研究)」に採択されました。
AMEDは、医療分野の基礎から実用化までの研究開発の成果が円滑に実用化されるよう、大学や研究機関などが行う研究を支援し、研究開発やそのための環境整備に取り組む機関です。内閣に設置された健康・医療戦略推進本部の意を受けて、文科省・厚労省・経産省からの補助金をもとに研究予算の管理・配分を行っています。
今回の「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する研究)」は、国内外で対策が必要な感染症について、患者及び病原体に関わる疫学調査、病原体のゲノムおよび性状・特性等の解析、病態解明等、総合的な感染症対策の強化をめざした基盤的研究を継続して推進し、得られた知見をもとに新たな診断法・治療法・予防法の開発をめざすものです。
採択内容
公募研究開発課題名 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)創薬シーズ及び創薬加速化革新技術開発 |
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研究課題名 | 新型コロナウイルスのスパイク蛋白を標的としたヘリックス・ループ・ヘリックス(HLMH)ペプチドの開発 |
研究実施予定期間 | 2021年3月25日~2022年3月31日 |
研究開発課題のポイント
新型コロナウイルス感染症COVID-19は、ウイルス表面にあるスパイク(S)・タンパク質がヒト細胞のウイルス受容体(ACE2:アンジオテンシン変換酵素)に結合して、ウイルスが細胞内に取り込まれることにより発症します。そこで、本研究では、Sタンパク質に作用する分子標的HLHペプチドを見出し、ウイルスの増殖を阻害する治療薬を開発します。このHLHペプチド製剤をCOVID-19の発症初期に投薬することで、感染症の重篤化を強力に防止する効果を発揮します。
研究者のコメント

藤井 郁雄教授
藤井研究室では、新しい創薬モダリティとして、ヘリックス−ループ−ヘリックス(HLH)構造をもつ分子標的ペプチドの開発を行っています。このHLHペプチドの構造とACE2の部分構造が似ていることから、Sタンパク質に結合し、感染を阻害するHLHペプチドの獲得が大いに期待できます。また、大阪府立大学獣医学専攻にはBSL3(解説1)実験施設が備わっており、新型コロナウイルスの感染実験が可能なことから、研究力を協働して大阪府立大学発のCOVID-19治療薬の開発を目指します。
用語解説
解説1 BSL3
バイオセーフティーレベル(BSL)とは、細菌・ウイルスなどの微生物・病原体等を取り扱う実験室・施設の格付けです。病原体などはその危険性に応じ、4段階のリスクグループに分類されます。SARSコロナウイルス2は、リスクグループ3に分類され、その取り扱いにはBSL3実験施設が必要です。大阪近郊では、本学りんくうキャンパスと大阪大学微生物病研究所の2箇所にBSL3実験施設があります。
関連情報
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)Webサイト
お問い合わせ
大阪府立大学 理学系研究科
教授 藤井 郁雄
Eメール fujii[at]b.s.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。