大阪府立大学

NexTEP成果で装置開発に成功、接ぎ木苗を安定かつ大量に生産可能に!

更新日:2021年3月5日

本学URAセンターのコーディネートをもとに採択された科学技術振興機構(JST)産学共同実用化開発事業(NexTEP)課題「自動選別型ナス科接ぎ木苗の工場的生産システム」の事業(予算 5年間 3億5千万円)について、生命環境科学研究科 西浦 芳史准教授らの研究成果をもとに事業化開発が進められていた内容および事後評価結果が、このたびJSTのWebサイトで公表されました。学術面ではこの成果を含めて、日本農業工学会フェロー賞を受賞しました。

この開発事業によって、世界的に需要が高まる接ぎ木苗を安定かつ大量に、土壌消毒剤を使用しないで生産することが可能になりました。安全、安心な食糧の高効率な生産を可能とする本開発技術は、SDGsの目標に合致します。

これまで接ぎ木苗の生産には耐病性と収量増加が望まれ、熟練の技術を必要としていました。本開発技術は接ぎ木苗の生産に大きな変革をもたらし、共同研究及び実施企業である日下部機械株式会社の製造した中核となる装置(以下、本装置)は、国際商談で好評を博し、比較的安価な半自動機をイタリアに20台出荷、デモ機の要望がイスラエル、スペイン、米国、南米等の世界中の企業から届いています。

本装置については、関連する生産システムで欠かせない装置等を含め、本学 知的財産マネジメントオフィスの助力をもとに、国内での特許および意匠を取得しました。また、欧州、米国、アジアを中心に国際特許の取得を進め、そのうち2件の国際特許はJSTの補助を受けています。

今後は、ナス科以外の接ぎ木苗にも対応し、接ぎ木サイズのバリエーションを広げ、さらに多くの生産者への供給と自動機の生産をめざして、産学連携による研究開発を進めていきます。

開発事業のポイント

  • 野菜のうち、果菜類の生産において広く行われている苗の接ぎ木作業は、熟練を要する上、高齢化に伴う離農などによる人手不足が進んでいる状況から、接ぎ木を簡便に生産できる装置が望まれていました。
  • 本開発では、育苗の段階から生産工程の管理まで、現在手作業で行われている接ぎ木作業を全自動化するシステムを開発しました。
  • 本開発によって、簡便かつ安定的に大量の苗の接ぎ木処理が可能となりました。

SDGs達成への貢献

SDGs2,12

大阪府立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。

本研究はSDGs17のうち、「2:飢餓をゼロに」、「12:つくる責任 つかう責任」に貢献しています。

研究動画

半自動ナス科接ぎ木装置「つぎ太郎」(日下部機械株式会社と大阪府立大学のJSTによる共同研究成果)

作業者は1名、接ぎ木性能は95%以上の成苗率、供給は人手に左右されるが、1時間あたり約400本(人手の2倍程度)

関連情報

お問い合わせ

大阪府立大学 研究推進課URAセンター (担当 三宅)

Tel 072-254-9128 Eメール miyake.tomoyuki[at]iao.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。