大阪府立大学

大阪府立大学の理念

基本理念について

 公立大学法人大阪府立大学は平成17年4月に、大阪府立大学、大阪女子大学、大阪府立看護大学が再編・統合されると同時に法人化して、公立大学法人大阪府立大学となり、公立大学法人の草分けとして大胆に改革に取り組んできた。平成21年、第一期中期計画の半ばを過ぎたところで、第二期中期計画のスタートが迫っていることを踏まえ、法人として、今後の大学のあり方を自ら検討する必要があるという認識のもとに、第三期中期計画の終了時を見通した「公立大学法人大阪府立大学の将来像」を策定した。そのなかで示した、本学の基本理念を以下に示す。

基本理念

 知識基盤社会化やグローバル化が進展する中で、ナショナル・イノベーションの担い手である大学への期待は、国内トップクラスの総合大学の多くに「大学が創出する研究成果を世界水準にする研究型大学」を指向させている。その結果、大学院教育は、アカデミアという限られた世界で活躍する学術研究者の養成の場になっているのが現状である。しかしながら、世界水準の研究を指向する大学で学んだ人材が、アカデミアのみならず地域社会や産業界などの多様な職域でも活躍することが、21世紀における知識基盤社会のさらなる発展のために不可欠である。

 このような認識のもと、本学がこれまで目標として掲げてきた「高度研究型大学」を「大学の構成員すべてが世界水準の研究を目指す高い志を持ちつつ、社会の牽引役となる有為な人材を、高度な研究の場を通して教育し、輩出する大学」と位置づける。

 社会の牽引役となる有為な人材の育成は、教育・研究の両輪によって実現される。「実学」と「リベラルアーツ」の伝統を有する本学は、組織的な教育体制の整備とともに、学生に対する手厚い指導に基づく教育力および教員個々の研究力を一層深めることにより、このような人材の育成をめざす。

 まず学士課程では、充実した教養教育と専門基礎教育によって人間力のある学士を育てて社会に輩出する。同時に、学士課程から博士前期課程に至るカリキュラムの連続性や融合性を重視した体系的なシステムによって博士前期課程への進学を促す。また博士前期課程においては、高度な研究を通じて行う少人数教育によって効果的な専門教育を行い、そこにおいて修得した専門知識によって社会で活躍できる高度専門職業人を養成する。さらに博士後期課程では、先進的な教育・研究を深めると同時に、地域社会や産業界との協働によって、社会を牽引する博士学位を有する人材を育成する。

 公立大学としての存在意義を高め、地域に信頼される存在となるためには、地域社会や産業界を牽引する人材が本学から持続的に巣立ち、広く世界に翔く(はばたく)ことでその証を立てなければならない。それらを追求するため、日本のみならず世界の研究型大学の変革の起点となり、地域に信頼される知の拠点となるべき基本理念を表す言葉として、高度研究型大学

―世界に翔く地域の信頼拠点―
を掲げる。

大切にする三つの視点

 「高度研究型大学 ―世界に翔く地域の信頼拠点―」を実現するために大切にしたい視点として、以下の「多様」「融合」「国際」の三つを掲げる。

〈多様〉

 自然界においては生物種や生態系の多様性が不可欠であるのと同様に、文化の多様性は、その交流・革新・創造の源であり、人類に正義・自由・平和をもたらすものである。大学が革新的な「知」を創出する拠点になるためには、多様な環境が重要である。このような認識に立って、本学では専門分野、価値観の多様性とともに、それらを担う教員、職員、学生の多様性を重んじる。

〈融合〉

 自然は多様なものを包含しながら全体として秩序・調和ある姿を示している。その秩序を支える法則を人類が共有できる真理として探究する学問は、複雑な現象を分析することによって追究してきた。その結果、それぞれの分野における研究成果は人類に利便性や効率性をもたらし社会の発展を促してきた。大学が、今後もたゆみなく新しい「知」を生み出すためには、複雑に分化されたものの新たな組み合わせ・結合の発見が重要である。本学では、秩序ある有機的な結合こそが革新をもたらすものとの認識に立って、学問分野の融合、教育と研究の融合、大学と社会の融合を重んじる。

〈国際〉

 大学が生み出した「知」は、より多くの多様な環境にある人々によって共有され、役立てられて初めて命ある人類の財産となる。これを実現する環境としては、多様な人々が自由に交わる中で知的で文化的な刺激が得られる国際性豊かな「場」、機会・雰囲気が必要不可欠である。本学では、日本や地域の歴史と伝統、文化が、世界的な共有財産であることを誇りとする心を育み、それを共有する拠点となることによって世界に貢献し得るものとの認識に立ち、教育・研究の「場」における国際性を重んじる。