大阪府立大学

IoT技術を用いた持続可能な養殖漁業!―中小企業庁の「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」に採択―

更新日:2020年7月13日

大阪府立大学 工学研究科 海洋システム工学分野/養殖場高度化推進研究センター センター長 二瓶 泰範 准教授、日本海工株式会社、国立環境研究所、株式会社東京久栄との共同開発事業が中小企業庁の令和2年度予算「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」に採択されました。

「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」について

「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に関する支援策の一環として、中小企業者等が産学官連携などにより、ものづくり基盤技術の高度化を図るための研究開発、試作品開発および販路開拓等の取組を促進することを目的としています。

採択概要

研究開発企画名 四胴型自動航行船の研究開発と、AIによる水質予報技術の確立
研究実施者 大阪府立大学、日本海工株式会社、国立研究開発法人 国立環境研究所、株式会社 東京久栄
事業管理機関 一般財団法人 大阪科学技術センター
大阪府立大学研究代表者 大阪府立大学 二瓶 泰範(工学研究科 海洋システム工学分野 准教授/養殖場高度化推進研究センター センター長)
研究期間 3年
補助金申請額(上限) 9,750万円

事業概要

塩分のシミュレーション結果画像

養殖場における塩分のシミュレーション結果(国立環境研究所 中田聡史博士提供)

水質の高度な管理が求められる養殖漁業において、海の塩分濃度の低下や、赤潮の発生は、非常に重要な問題です。養殖漁業では、これらによる魚介類や藻類への被害を防ぐため、養殖場内の水質の細かな計測を行うことで、水質を事前に予測することが求められています。

本事業では、大阪府立大学にて特許を保有している四胴型の自動航行船アクアドローン「ロボセン」の性能をより高度化し、「ロボセン」によって得られる水質ビッグデータによって、より高度な水質シミュレーションを行います。また、AI技術を導入し、市販PCで実行可能な新たな水質予報システムを開発します。水質予報システムと「ロボセン」で得られた水質ビッグデータとを組み合わせることで、養殖漁業の持続可能な成長に貢献します。

 

アクアドローン「ロボセン」について

アクアドローンの画像

アクアドローン「ロボセン」

アクアドローン「ロボセン」は大阪府立大学 工学研究科 海洋システム工学分野の二瓶 泰範准教授と日本海工株式会社が共同開発を行う、水質の自動計測を行うことができる四胴型の自動航行船であり、大阪府立大学にて特許を保有しています。養殖場などの比較的狭い海域で活動するためには、風の中でも同じ場所を保持することや、小回りが効く必要があります。「ロボセン」はそれぞれの船体に独立した推進機と回頭機構を有していることから、波や風、潮流などの環境下においても目的地まで自動で航行し、定点で船体の位置を保持することができるため、養殖場での高密度かつ高頻度の水質を計測することが可能です。

研究者のコメント

養殖場での自動化・機械化・情報化により、養殖業の生産性向上や漁業者さんの負担軽減が図れるのではないかと考えています。このような考えから大阪府立大学21世紀科学研究センターに、養殖場高度化推進研究センターを設立し、産学および自治体連携型の高度化研究を行っています。養殖場の高度化の一事例として、大阪府立大学が有する特許を活用したロボセンで機動的に水質情報を取得し、精度の高い水質予報を養殖漁業者の皆さんに届けたいと思います。

SDGs達成への貢献

SDGs11,13,14,17のアイコン画像

大阪府立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。

本研究はSDGs17のうち、「11:住み続けられるまちづくりを」、「13:気候変動に具体的な対策を」、「14:海の豊かさを守ろう」、「17:パートナーシップで目標を達成しよう」等に貢献しています。

関連情報

お問い合わせ

大阪府立大学 工学研究科

准教授 二瓶 泰範

Tel 072-254-7446 Eメール nihei[at]marine.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。