大阪府立大学

世界初!遺伝子組換え技術でナスのβ-カロテン含量を大幅に高めることに成功

更新日:2020年5月14日

ナス果実の断面の比較写真

遺伝子組換でないナス果実(左)と遺伝子組換えナス果実(右)の断面写真

本学 生命環境科学研究科 応用生命科学専攻の三柴啓一郎 准教授、小泉望 教授らの研究グループは、遺伝子組換え技術によりビタミンA前駆体であるβ-カロテンを果実に蓄積するナスを開発しました。

本研究成果は、2020年5月7日に植物科学系の学術雑誌である「Plant Cell Reports」にオンライン掲載されました。

論文名「Genetic engineering of eggplant accumulating β-carotene in fruit」

研究成果のポイント

  • ナス果実は同じナス科ナス属のトマトと違いカロテノイド(解説)をほとんど含まないが、遺伝子組換え技術を用いることでカロテノイド生合成に関わる遺伝子を発現させ、β-カロテン含量を約30倍に高めることに成功。
  • これまで遺伝子組換え技術により病気や害虫に強いナスが開発された例はあるが、果実の栄養成分を改変したのは世界で初めての取り組み。
  • β-カロテンはヒトの体内でビタミンAに変換されることから、将来的に世界の三大微量栄養素欠乏の一つであるビタミンA欠乏症の改善に貢献することが期待される。

SDGs達成への貢献

SDGs3のアイコン

大阪府立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。

本研究はSDGs17のうち、「3:すべての人に健康と福祉を」に貢献しています。

用語解説

解説 カロテノイド

動物や植物に存在する黄色または赤色の色素成分で、水に溶けにくく油に溶ける性質を持っており、カロテン類とキサントフィル類がある。カロテン類の代表的なものとしては、β-カロテン(多く含む食物:ニンジン)やリコピン(トマト)などがあり、β-カロテンはヒトの体内でビタミンAに変わる。β-カロテンはビタミンAが不足した時にビタミンAに変わるので、β-カロテンを食べ過ぎてもビタミンA過剰症にはならない。キサントフィル類の代表的なものとしては、ルテイン(ホウレンソウ)やアスタキサンチン(鮭の赤身)などがある。

関連情報

お問い合わせ

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 応用生命科学専攻

教授 小泉 望

Tel 090-3942-9220 Eメール nkoizumi[at]plant.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。