大阪府立大学

システム発想で産業界を牽引する博士人材を育成―大阪府立大学と大阪市立大学が共同で運営する博士人材育成プログラムが7年目―

更新日:2019年11月15日

システム思考・デザイン思考力を学ぶ履修生、写真

システム思考・デザイン思考力を学ぶ履修生

大阪府立大学 高等教育推進機構 高度人材育成センターと大阪市立大学が共同で運営する博士課程教育リーディングプログラム「システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム」(略称「SiMS(シムス)」)はプログラム開始から7年が経過し、今年度末に3年目の修了生を世に送り出します。システム思考、デザイン思考、そしてアントレプレナーシップ(起業家精神やイノベーション創出意欲)を身に付けた高度研究人材が様々な分野の企業で輝き始めており、本プログラムの成果が形になりつつあります。

本プログラムは、「システム思考をベースとし、ことつくり発想で産業界を牽引する」ための産学連携教育プログラムで、また博士課程(前期2年、後期3年)5年一貫教育プログラム、大阪市立大学と共同で申請した文部科学省の採択事業です。

ポイント

  • 博士後期課程学生を、産業界とともに育てるプログラム「SiMS」
  • 産業界を牽引し、イノベーション創出に貢献できる「新たな博士人材」を養成
  • 2013年からプログラムを開始し、養成者19名中、16名が産業界で活躍

SiMSの特色

  • 産業界を牽引できる、こと作り高度研究人材の育成に特化する。
  • システム思考、デザイン思考そしてアントレプレナーシップを醸成する教育を産業界会と連携して実施する。
  • 科学技術シーズをもとにしたアイディエーション、こと作り発想やビジネス企画を企業研究者、企業コンサルタント、ベンチャーキャピタリストの指導で推敲する。
    その結果を、ベースにブラウン大学やニューメキシコ大学での一週間のアントレプレナーインターンシップでブラッシュアップし、ピッチトークを行う。
  • 履修生全員が3ヶ月以上の異分野研究と海外の大学、研究所、企業で3か月以上の研究活動を実施する。

1~2期生(2017年度~2018年度修了者)就職実績

2017年度修了生:7名

主な留学先 スタンフォード大学(アメリカ)、フライブルグ大学(ドイツ)、カリフォルニア大学バークレー校(アメリカ)、オールボー大学(カナダ)、パデュー大学(アメリカ)、シンガポール国立大学(シンガポール)、マギル大学(カナダ)
就職先 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、NTT基礎研究所、株式会社ローム、古河電工株式会社、大阪府立環境農林水産総合研究所、日本JSR株式会社、株式会社デンソー

2018年度修了生:12名

主な留学先 フロリダ大学(アメリカ)、ルーベン・カトリック大学(ベルギー)、同済大学(中国)、カリフォルニア大学バークレー校(アメリカ)、ミシガン大学(アメリカ)、ウオータール大学(カナダ)、トロント大学(アメリカ)、パデュー大学(アメリカ)、アメリカ国立衛生研究所(アメリカ)、ジョージア工科大学(アメリカ)、南洋理工大学(シンガポール)、アルバーター大学(アメリカ)
就職先 金沢大学、三菱電機株式会社、クワーズテック株式会社、シスメックス株式会社、株式会社カネカ、パナソニック株式会社、DIC株式会社、ファーマフーズ株式会社、東レ株式会社、太陽誘電株式会社、マイクロンメモリジャパン株式会社、デンソー株式会社

2017年度修了生(第一期生)のコメント

リーディングプログラムを受けて良かったと思うことは、研究室配属時に与えられたテーマの延長線上にはない新しい挑戦に一歩踏み出すきっかけを与えてもらったことです。リーディングには協力者がたくさんいることが非常に心強く、助けられてばかりでした。

私にとっては、特に海外留学をきっかけに新しい研究テーマに挑戦したことが、リーダーシップを身に付ける重要な経験になったと感じています。それまでの専門領域とは異なる領域への挑戦だったため、リスクを伴った良い意味での危機感を持って取り組むことができました。研究の意義から目的、内容の立案、計画までをゼロから構築していく過程で、その研究価値を周りの人に納得させることの難しさを思い知らされました。それでも、自身のアイデアを留学先の先生に提案して面白そうだと言ってもらえた時は、非常に興奮したことを今でも憶えています。帰国後には、アイデアをさらに膨らませて、関連研究を行っていた一期生の仲間と協力してプロジェクトを構想しました。分野融合・階層融合の両視点から研究戦略をデザインすることをめざし、府大と市大から学生を集めてワークショップも主催しました。多くの課題も残りましたが、自分たちなりのアプローチで行動し、研究の幅を広げられたことが強い自信につながりました。

自分の領分から一歩踏み出すことをチャンスとして捉え、協力してくれる仲間の存在の大切さに気付き、独自のアプローチで戦略をデザインする力を養えたことが本プログラムでの収穫です。

プログラム担当教員 石原 一 教授(工学研究科)のコメント

博士課程の先輩達が、研究をやり遂げて大きく成長し、電気・電子、化学、機械、バイオ、情報等の様々な分野の企業に進出して活躍します。その姿に憧れた意欲ある後輩学生達は、自分たちも産業界で活躍できる博士になるために進学したいと思うでしょう。そのような学生を預かった教員は産業界とも連携し、学生が俯瞰的視野を持って活躍できる人材へと育成します。また企業は、その様な優秀な博士学生を競って採用するのではないでしょうか。そして、そこで活躍する先輩の姿に憧れた後輩学生は…。私たちはこのような好循環を実現しようとSiMSへ繋がる種々の博士育成プログラムを推進してきました。

このような好循環が実現するためには教員の意識、学生の意識、企業の意識のどれもが変わる必要があります。しかし、これらが目に見えて変化し、好循環へと本当に回転し始めるには大きなエネルギーが必要です。私たちがプログラムに関わってきた間にどれくらい変わってきたでしょうか。企業が博士採用数を大幅に増やしてきたことが新聞記事にも出てきました。一方で進学者数を見てみると一進一退にも見えます。博士は使いにくいと思っている人事の方もまだおられるかも知れません。変化の兆しが見えてきたと同時に、簡単には変わらないな、という実感もあります。大きな車輪が回転し始めるためには粘り強く継続的に努力を重ねてエネルギーを注いでいくことが必要なのだと思います。

しかし、そのような中で確実に変わったと言えることがあります。それは実際にSiMSに参加した学生の未来、また直接、或いは自分の学生を通してSiMSに関わった教員の意識ではないでしょうか。そしてSiMSの優秀な博士学生を採用した企業の現場だと思います。SiMS学生は様々に工夫されたプログラムを通して自分を大きく成長させ、未来を拓きつつあります。私自身も研究室で5人の学生をSiMSに預け、産業界をめざす優秀な博士学生がどれだけ大学に力を与えるかを知って意識が変わりました。昨春、初めてのSiMS修了生が企業へ就職しましたが、その活躍が現場を通し、企業の意識を変えることでしょう。このような身近で感じる着実な変化が継続へのエネルギーになります。そして、続けることによって、やがて好循環が実現されていることに気付く日が来るのではないでしょうか。

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お問い合わせ

大阪府立大学 高度人材育成センター 博士課程教育リーディングプログラム

Tel 072-254-7567