大阪府立大学

テトラゾリウム塩を用いた細胞活性の電気化学的評価法を開発―検出限界を1万分の1倍上回る検出を実現!―

更新日:2018年9月26日

大阪府立大学大学院 工学研究科 博士後期課程 2年 石木 健吾、Nguyen Dung、椎木 弘 准教授らの研究グループは、テトラゾリウム塩(解説1)を用いた細胞活性の電気化学的評価法を開発しました。

本開発によって、電極に吸着した細菌の迅速な定量が可能になり、従来のMTTアッセイ(解説2)の検出限界を1万分の1倍上回る検出が実現されました。本法は、電極に吸着する細胞であれば菌種に関わらず適用できるため、食中毒や感染症の予防、食品の品質管理や安定供給、医薬品の細胞毒性、微生物燃料電池やセンサの形成など様々な分野において細胞活性を評価する有効な手段となります。

本成果は米国化学会「Analytical Chemistry」オンライン版で 2018年8月17日に公開されました。なお、冊子体「Analytical Chemistry」誌のカバーアートに選出されました。

論文タイトル「Electrochemical Detection of Viable Bacterial Cells Using a Tetrazolium Salt」

本開発のポイント

細菌に形成されたホルマザン結晶の暗視野像の図

細菌に形成されたホルマザン結晶の暗視野像

  • 細菌を迅速かつ高感度に検出することができます。
  • グラム陽性、陰性、菌種にかかわらず、種々の微生物を検出することができます。
  • 呼吸や光合成など、種々の細胞の生物活動を定量的に評価できます。

用語解説

解説1 テトラゾリウム塩

細胞の代謝活性の評価に用いられる呈色指示薬のひとつ。テトラゾリウム塩は、細胞に含まれる酵素や電子伝達体により還元されホルマザンを生成する。ホルマザンは紫色や赤色などの特徴的な色を示すため、酵素活性や呼吸活性などを比色により評価することができる。

解説2 MTTアッセイ

テトラゾリウム塩のひとつであるMTT(3-(4,5-di-methylthiazol-2-yl) -2,5-diphenyltetrazolium bromide)が酵素によってホルマザン色素(紫色)に還元されることを利用した比色定量法である。培養細胞の生存率や増殖率を調べることができる。様々な医薬品や毒物の細胞毒性の評価に用いられる。

研究助成等

本開発は農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(25020A)、JSPS科学研究費補助金(25288039、 16H04137)の支援により行われました。

お問い合わせ

大阪府立大学大学院 工学研究科

准教授 椎木 弘

Tel 072-254-9875 Eメール shii[at]chem.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。