大阪府立大学

平成30年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 本学教員2名が科学技術賞と若手科学者賞を受賞

更新日:2018年4月10日

表彰式で記念撮影

このたび、平成30年度「文部科学大臣表彰」において、大阪府立大学大学院工学研究科の辰巳砂 昌弘教授が「科学技術賞」を、工学研究科の竹井 邦晴准教授が「若手科学者賞」を受賞しました。

 科学技術分野の文部科学大臣表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、科学技術水準の向上に寄与することを目的としたものです。

なお、表彰式は文部科学省にて4月17日(火)に行われました。

1.科学技術賞 研究部門

辰巳砂 昌弘 教授

大阪府立大学大学院工学研究科 研究科長 辰巳砂 昌弘 教授
〈業績名〉全固体電池を目指したガラス系イオニクス材料の研究

受賞対象となった研究業績概要

低炭素社会の実現に向けて、優れた次世代蓄電池の開発が強く望まれている。無機固体電解質を用いた全固体電池は、安全性・信頼性に優れた究極のエネルギーデバイスであることが広く認識されているが、電池に適用できる優れたイオニクス材料の創製やプロセスに関する研究は立ち後れていた。

本研究では、イオン伝導性の高いガラス材料の設計指針を確立するとともに、超イオン伝導結晶の常温凍結現象を発見し、電池応用可能なガラスセラミック電解質の創製に成功した。融液超急冷法、メカノケミカル法、液相法を駆使して、電池応用に適したガラス系電解質材料及び電極材料の合成プロセスを提案するとともに、電解質−電極界面の構築手法及び評価手法を開発し、バルク型全固体電池の画期的な高性能化を図った。

本研究により、これまで究極ではあるが実用化が困難とされてきた、無機固体電解質を用いた全固体電池の実用化への道を大きく開いた。

本成果は、電動車両の早期普及に貢献するものであり、将来全固体電池が車載用だけでなくあらゆる用途に採用される可能性があることから、安全・安心で快適な社会づくりに寄与することが期待される。

【受賞コメント】

「全固体電池」という究極の蓄電池を世に送り出したいというのが私の長年の夢です。その要となるガラス系イオニクス材料の研究に取り組んできましたが、その業績が認められてこのような賞をいただくことができ、大変嬉しく思います。研究室における先輩や同僚、素晴らしい学生の皆さんに恵まれたことがこの受賞に繋がっています。本研究に関わったすべての方々に深く感謝するとともに、今後も、実用化に向けた研究をさらに加速させていきたいと思います。

2.若手科学者賞

竹井 邦晴 准教授

大阪府立大学大学院工学研究科 竹井 邦晴准教授
〈業績名〉無機ナノ材料応用による新規フレキシブルデバイス開発の研究

受賞対象となった研究業績概要

フレキシブルデバイスは近年、次世代の電子デバイスとして世界的に注目を集めている。

しかし、現状、そのフレキシブルデバイスは実用化に至っておらず、更なる材料開発及びそれを用いた高性能、多機能なトランジスタやセンサデバイスの開発が必要である。

氏は、従来手法とは異なる無機ナノ材料印刷技術により、柔らかいフィルム上に高性能なセンサ材料等を大面積集積させることに成功した。その技術を用いてロボットの電子皮膚デバイス、添付型の健康管理デバイス等を世界に先駆けて開発した。

本研究成果は、大面積、低価格、多機能フレキシブルセンサシートとしての実用化が大きく期待できるものである。また学術的にも無機ナノ材料のセンサデバイス応用ということから、新規物性の発見や低消費電力化等と期待される。

【受賞コメント】

このような栄誉ある賞をいただけたこと大変光栄に思うと共に、本研究を遂行するにあたりご協力頂いた共同研究者や学生に感謝申し上げます。本研究は、自分が楽しく、そして世の中のためになるような電子機器開発を目指して、取り組んできたものです。実用化に至るには更なる挑戦的な課題がいくつも残されていますが、本受賞を励みにより一層研究に邁進する所存です。今後とも、皆さまのご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

〈注意〉2018年4月19日 写真を追加しました。

お問い合わせ

公立大学法人大阪府立大学 大学院 工学研究科

Tel 072-254-9331(辰巳砂) Tel 072-254-9497(竹井)