公立大学法人大阪府立大学

多面観察可能な三次元細胞組織培養プラットフォームを開発

更新日:2016年5月4日

―組織再生研究を加速させる新技術―
多面観察可能な三次元細胞組織培養プラットフォームを開発

公立大学法人大阪府立大学(理事長:辻󠄀 洋)ナノ科学材料研究センターの萩原将也テニュアトラック講師と九州工業大学の川原知洋准教授らの研究チームは、立体的に細胞組織を培養する際に用いる、細胞を多方面から観察できるデバイスの開発に成功しました。レーザー顕微鏡のような高価な機器に頼らずに細胞組織の三次元構造認識が可能となり、再生医療分野の発展に大きく貢献するプラットフォームとして期待されます。

本研究成果は、ドイツ科学雑誌「Advanced Healthcare Materials」のオンライン速報版で公開されました。

論文タイトル:Tissue in Cube: In Vitro 3D Culturing Platform with Hybrid Gel Cubes for Multidirectional Observations

研究成果のポイント

  • 培養中の細胞組織サンプルを多面より観察可能にするプラットフォームの開発に成功
  • レーザー顕微鏡のような高価な機器に頼らず、発達した細胞組織の三次元構造認識が可能
  • 特定タンパク質や内部構造観察のために蛍光染色を行った場合でも、厚み方向の空間分解能を飛躍的に向上させることが可能
  • デバイス自体は安価で汎用性が非常に高い
  • 非染色であれば、細胞にダメージを与えず立体観察ができるため、再生医療分野の発展に大きく貢献するプラットフォームとして期待

開発したデバイスの様子

従来では培養中の細胞にダメージを与えず容器の中から動かすことは困難でしたが、細胞の立体形成に必要な基質を十分な硬さを持ちつつ栄養成分だけを通す網目構造をもつゲルで覆うことにより、培養中のサンプルをピンセットで容易に持ち上げたり回転させたりすることが出来るようになりました。

また、これまで細胞組織の立体構造を観察する為には、細胞に蛍光染色などの前処理を施した後に高価なレーザー顕微鏡が必要でしたが、本開発成果を用いて複数の面から観察することにより、前処理は一切不要かつ通常の顕微鏡においても対象組織の三次元形状認識が可能となりました。さらに、従来では観察が難しかった厚みのあるサンプルにおいても、複数の角度からの詳細観察が可能となりました。

一方、特定タンパク質の発現確認や細胞組織の内部構造観察など蛍光染色が必要である場合においても、従来のように一方向からのみ観察する場合と比較して、サンプルの厚み方向における計測分解能を飛躍的に向上させることが可能となります。

デバイス自体は材料費にして100円以下と安価に製造可能であり、市販の培養容器にもそのまま使用可能であるため、汎用性が非常に高いのも大きな特徴です。培養した細胞組織の三次元形状把握に前処理による細胞へのダメージを不要とするため、現在活発に研究が進められている体外組織再生の分野の研究に大きく貢献することが期待されます。

お問い合わせ

大阪府立大学 21世紀科学研究機構 ナノ科学・材料研究センター

担当 萩原 将也 テニュア・トラック講師

Tel 072-254-9829 Eメール m-hagiwara[at]21c.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。