大阪府立大学

世界初、一兆分の1mlの微小単位の水を自在に制御する技術を開発

更新日:2016年1月21日

世界初、一兆分の1mlの微小単位の水を自在に制御する技術を開発
―化学、バイオなどの幅広い分野を革新―

研究成果のポイント

  • 髪の毛の数百分の1の太さのナノ流路に開閉自由な超微小スマートバルブ(弁)の作製に成功。一兆分の1ml級の水の自在制御を世界で初めて実現。
  • 様々な液体(液相)プロセスの精度、集積度および処理能力の大幅向上により、化学やバイオ、材料、エネルギー、創薬、臨床医学などの幅広い分野を革新。
  • 次世代医療変革の推進や次世代化学技術の創出に貢献することも期待される。

研究概要

公立大学法人大阪府立大学(理事長:辻󠄀洋)ナノ科学・材料研究センターの許岩テニュア・トラック講師と大学院工学研究科の原田敦史准教授らとの共同研究チームは、精密な分子構造を有するソフトマテリアルと新しく開発した超高精度ナノ集積化技術を使って、髪の毛の数百分の1の太さのナノ流路に、外部温度の制御だけで開閉自由な超微小スマートバルブ(弁)を作製することに成功しました。この超微小スマートバルブを利用することで、一兆分の1ml級の水を自在に制御することを世界で初めて実現しました。この研究成果は、化学、バイオなどのプロセスに画期的な革新をもたらすと予想されます。

微視的な流体の「量」をより微小的に制御することは、基礎研究および産業開発に関わる極めて重要な要素能力として、常に我々人類が追求してきました。本研究で示した、水の自在制御の「量」を一兆分の1ml級の微小な単位まで可能にしたことは、化学やバイオ、物理、機械、材料、エネルギー、創薬、臨床医学など幅広い分野における様々な液体(液相)プロセスの精度、集積度および処理能力を大幅に向上させます。例えば、1個の小さな細胞が含むたくさんの生体物質及び分子情報を、極限の精度で網羅的に定量解析することに役に立ちます。また、1分子単位で溶液中のたくさんの分子を精密に直接操作することも実現可能となり、従来の常識を覆す未来の化学プロセスへと進化する可能性があります。

今後のさらなる研究、開発を通じてこれらの画期的な革新を実現することにより、がんの超早期診断法の開発や、患者一人ひとりの「個性」を重視した精密適確で有効性の高い創薬、治療の実現を目標とする次世代の医療変革の推進が期待されます。また、これまで実現できなかった、分子を「積み木」とする究極の精密人工合成法の実現や、収率100%で、さらに分離・精製のプロセスを必要としない、新たな環境に優しいグリーンケミストリーの開拓など次世代の化学技術の創出に貢献することも期待されます。

本研究成果は、2016年1月20日(現地時間)に、ドイツ科学雑誌「Advanced Materials」のオンライン速報版で公開されました。

論文タイトル:Soft Matter-Regulated Active Nanovalves Locally Self-Assembled in Femtoliter Nanofluidic Channels
(フェムトリトルのナノ流路内に局所的に自己組織化されたソフトマター制御型アクティブナノバルブ)

参考図:温度変化によりナノ流路の開閉が自在に制御される超微小スマートバルブの動作原理

参考図:温度変化によりナノ流路の開閉が自在に制御される超微小スマートバルブの動作原理

お問い合わせ

公立大学法人大阪府立大学 21世紀科学研究機構 ナノ科学・材料研究センター

テニュア・トラック講師 許 岩(シュウ イェン)

Tel 072-254-7813 Fax 072-254-7813 Eメール y-xu[at]21c.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。