公立大学法人大阪府立大学

微弱な光の色を高効率に変換出来る新原理を解明

更新日:2014年3月24日

微弱な光の色を高効率に変換出来る新原理を解明
―新たな太陽光エネルギー利用技術への応用に期待―

大阪府立大学大学院工学研究科の大学院生(博士後期課程1年)逢坂良樹氏と余越伸彦助教らは、単一光子レベルの微弱な光の色(波長)を高効率に変換出来る新原理を明らかにしました。

光の色の変換は、新しい光源や情報処理素子の開発、また材料加工や物質研究などにおいて不可欠な技術とされています。通常、色の変換は強い光でないと不可能とされ、レーザーなどの強い光をさらに超短パルスや、強集光ビームにして物質と相互作用させ、色を変換します。

今回、本グループは、微小な金属で作った「光アンテナ(解説1)」と分子を結合させ、両者を波のように振る舞わせることで、二つの光子(解説2)が通常より数万から数100万倍効率良く、一つの光子に変換される(すなわち色が変換される)新しい原理を発見しました。この原理によれば、太陽光を利用しても、1つの分子からほぼ確実に変換された光子を放出させることができ、例えば、近赤外光(解説3)を紫色の光に変換することが可能になります。

この成果を応用すれば、新しい光源や情報処理技術のみならず、太陽光の波長を変換して利用する、これまでにない新しいエネルギー利用技術の開発にも結びつくと期待されます。

なお、本研究成果は、米国物理学会速報誌フィジカル・レビュー・レターズ「Physical Review Letters」に3月28日オンライン掲載される予定です。

論文タイトル:Enhanced Up-Conversion of Entangled Photons and Quantum Interference under a Localized Field in Nanostructures(ナノ構造の局在場におけるもつれ光子対の増強上方変換と量子干渉)

著者:逢坂良樹、余越伸彦、中谷正俊、石原一

関連情報

「微弱な光の色を高効率に変換出来る新原理を解明」に関する発表資料全文(375KB)

用語解説

解説1:光アンテナ

通常のアンテナでは、電磁波の放射を受けた金属構造体の電荷が揺すられることによって、電波が捉えられる。光アンテナも同様の機構で、同じく電磁波の一種である光によって金属の電荷が揺すられて光エネルギーが捉えられる。このとき、ナノメートル程度のギャップに振動電荷が発生して強い電場が発生する。この場所に分子などが置かれると、分子に光のエネルギーが強く集中する。光の波長が電波のそれに比べてずっと短いため金属の構造もミクロンより小さなものになる。

解説2:光子

光は電磁波という波であることが知られているが、同時に光子という、これ以上分割できない素粒子の集まりとしても理解されている。一つひとつの光子が持つエネルギーが光の振動数に比例し、波長に反比例する。また光子の密度が光の強度に比例する。光子のエネルギーが高いほど光の色はより紫色に近づき、また光子の密度が高いほど明るい光になる。色の変換は光子のエネルギーを変化させることに相当する。

解説3:近赤外光

人間の目に見える光は、エネルギーの高い波長400nm(濃紺)から エネルギーが低い800nm(暗い赤)ぐらいであるが、その中でも 750nmより長い波長付近の光のことを近赤外光と言う。

お問い合わせ

大阪府立大学 工学研究科 電子・数物系専攻 電子物理工学分野

教授 石原 一(いしはら はじめ)

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