公立大学法人大阪府立大学

光合成の光エネルギー輸送が円形アンテナで大幅に高速化されていることを解明

更新日:2013年6月20日

光合成の光エネルギー輸送が円形アンテナで大幅に高速化されていることを解明
~太陽光エネルギー利用技術への応用に期待~

 大阪府立大学大学院工学研究科の大学院生 鄭豪氏(当時)と中谷正俊博士研究員(同上)らのグループは、紅色光合成細菌の光合成器官に存在するアンテナ色素系が円形の集合構造(下左図)を取ることによって、光合成系での光エネルギー輸送を数十から数百倍に渡って高速化している可能性をシミュレーションにより突き止めました。
 進化の歴史の結果得られた生体組織の形状には、生物の巧みな戦略が隠されていることがあります。光合成器官では、様々な形状のアンテナ色素系で太陽光を捕捉し、それを化学エネルギーに変換する部位へ高い効率で輸送します(下右図)。特に、色素分子を美しい円環状に並べた紅色細菌の光合成アンテナについては、なぜ円なのか? それが効率的な光エネルギー利用にどのように役立っているのか? について長年に渡り興味を持たれ、世界的に研究が行われてきました。
 今回研究グループは、大規模な量子力学的シミュレーションにより、色素の配置がランダムな場合にエネルギー輸送を阻害してしまう種々の要因が、構成ユニットを円環にするだけで全て取り除かれ、エネルギー輸送効率が最大化されることを明らかにしました。
 本研究成果は、近年重要性を増す太陽光エネルギー利用技術を革新するための重要なヒントになる可能性があり、また分子進化の謎解明へ新しい視点からの議論を引き起こすと期待されます。
なお本成果は、英独共同発行の電子学術誌「ニュー・ジャーナル・オブ・フィジクス」に近日オンライン掲載される予定です。

紅色細菌光合成器官における円環のアンテナ色素蛋白複合体(直径約7ナノメートル:1ナノメートルは10億分の1メートル )

紅色細菌光合成器官における円環のアンテナ色素蛋白複合体(直径約7ナノメートル:1ナノメートルは10億分の1メートル )

図2 円環アンテナに捕捉された光エネルギーが反応中心へ輸送される模式図

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担当 教授 石原 一(いしはら はじめ)

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