理学部/理学系研究科パンフレット
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13Department of Physical Science溝口幸司 教授光物性分野 物理科学科では、物理現象を含めた自然現象の解明と基礎的な原理・法則の発見、および、その応用を目指して、教育・研究を行っています。「物理学」の基礎から応用に至るまでの幅広い分野の教育・研究を一貫性をもって遂行する事により、物理現象に対する探究心、論理的思考力、洞察力、そして、創造力を修養することを目指しています。特に、授業科目に関しては、力学、電磁気学、物理数学、量子力学、および、統計力学を基本科目とし、物性物理、宇宙物理、地球科学の内容を学ぶことができます。 物理科学科は、宇宙物理学分野、地球科学分野、そして、物性物理学分野から構成されています。その物性物理学分野には、物性理論、構造物性、分子磁性、光物性などの研究室があります。我々の光物性研究室では、種々の実験装置を用いて、物質の光学的性質(光と物質との相互作用)を様々な視点から調べ、新規機能性を有する物質の探索や作製をしています。古代から続く「光に対する問い」は、問いかけの内容が変遷しつつも現在も続いており、今後も新たな様相を呈して継続されて行くでしょう。また、現代の物性研究は日夜発展しており、21世紀においては新しい局面を迎えると考えられています。21世紀における物性研究の発展に対し、君たちも一翼を担ってみませんか。我々と一緒に発見の喜びを共有しましょう。 最後に、大学生活の4年間は長いようで非常に短い時間です。どのように大学生活を過ごすかは自分自身の行動で決まります。充実した大学生活を送ることができることを願っています。大西利和 教授宇宙物理学分野 天体からは我々の目には見えない様々な種類(波長)の電磁波も放射されています。天体の性質を知るためには、物質からどのような電磁波が放出されるのかを物理学的に理解する必要があり、その知識をもとに様々な波長での観測を行い、天体の性質を明らかにします。天文学の歴史は、様々な波長の電磁波の検出システム開発の歴史と言ってもいいでしょう。 恒星は宇宙の最も基本的な構成要素の一つであり、その進化を追うことは宇宙の進化を明らかにする上で非常に重要です。星・惑星形成のもとになる星間ガス・ダストからは、主にミリ波・サブミリ波・赤外線にかけての電磁波が放出されます。最近の高性能望遠鏡・検出器開発により、サブミリ波(波長1以下の電波)での観測が急速に発展してきました。この波長帯では、星が形成される直前・直後の高密度・高温の星間ガスを集中的に観測することが可能になり、天体形成のメカニズムの解明が急速に進んでいます。観測条件のよい、南米チリのアタカマ高地(標高5000)が世界的なサブミリ波観測の中心となっています。NANTEN2、 ASTEといったサブミリ波望遠鏡も始動し、2013年には合計66台の望遠鏡を有するアルマ望遠鏡が完成する予定です(2011年から部分運用開始)。 AKARI、 Sなどの赤外線天文衛星の観測結果との比較研究も多くの成果をあげています。H、 P等、赤外線-サブミリ波天文衛星の打ち上げも2009年中に予定されており、天体形成の研究が劇的に進みます。このようにエキサイティングな状況の今、皆さんと一緒に研究できることを楽しみにしています。地卒震や火山など地球は現在も活発に活動しています。また、地下深部の高温高圧条件で形成され激しく褶曲した岩石が高い山脈の頂上に分布することからも地球が大規模に動いていることが分かります。たとえば日本列島には、さまざまな時代に形成された火成岩・変成岩・堆積岩などが分布しており、何億年にもわたるプレートの沈み込み・火山活動・変成作用を含む長い歴史を経て現在の状態に至っていることが分かります。私たちのグループは地表・海底・地下から採取した岩石を偏光顕微鏡・電子顕微鏡・X線回折装置・磁力計などの装置を用いて解析しています。岩石に記録された過去の地球や地球内部の情報を読み取ることにより、地球内部や表層で起こったいろいろな現象の解明に取り組んでいます。 業研究では、それぞれの研究テーマにそって、野外調査や室内実験などの内容・方法を自ら計画し、研究を進めていきます。また、地球で起こるさまざまな現象は互いに関連し、地球全体としてひとつの巨大なシステムを構成していると考えられます。それを理解するためには広い視野が必要で、そのためにも強い好奇心と何事にも丹念に取り組む姿勢が求められます。地球科学グループの場合▲かんらん岩の偏光顕微鏡写真教員からのメッセージMessage卒業研究ThesisDepartment of Physical Science教員メッセージ・卒業研究

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