大学広報誌OPU Vol.01「新」
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Faculty of Liberal Arts andSciences3大学統合とともにスタートした新しい大阪府立大学では、平成17年度より、教員約80名を擁し、2部門からなる総合教育研究機構を設置。「共通教育部門」では、教養教育・基礎教育を全学的に担う組織として、確かな教養と基礎知識に支えられた問題解決能力の高い人材の育成に力を注いでいる。また、「教育改革・展開部門」では、全学における教育改革の拠点として、FD(ファカルティ・ディベロップメント)活動の中心となるとともに、地域社会への貢献活動に力を注いでいる。大学の従来の教養教育では、学部の教員が兼任しながら1〜2年次の基礎教育を行うため、たとえば同じタイトルの科目を履修しても、教員ごとに授業内容にばらつきがあるという弊害があった。総合教育研究機構がユニークなのは、「世界に通用する高度研究型大学」実現のために基礎教育のプログラムを全面的に見直し、専任教員が責任を持ってその実施にあたっていることだ。「一言でいえば、高度研究型大学にふさわしい教養教育・基礎教育を目指しています。そのために、教育プログラムも全面的に見直しましたが、さらに改善するために、本学には【共通教育部門】専任教員が責任を持って基礎・教養教育を担当総合教育研究機構長・エクステンションセンターセンター長の佐藤優子教授(中央)、高橋哲也教授(左)、佐藤正明教授(右)。大阪府立大学のどの学部に入学しても、学生は全員、総合教育研究機構の授業を受けることになる。ここでは、将来を担う人材に必要な幅広い教養と、専門教育に必要な基礎的な知識・能力の習得に重点を置いた教育が行われる。どういう学生が入学してくるかなどの調査もおこなっているところです。」と機構長の佐藤優子教授。ここでは、専門課程での勉強にスムーズにつながるような専門基礎教育を実施。シラバスやガイダンスも充実させ、詳細な授業計画、明確な成績評価基準を学生に対して提示している。教養教育では、多様なテーマの主題別教養科目を開講し、学生の興味・関心に応えるとともに、教員・学生双方が課題を設定して問題解決に取り組む少人数の教養ゼミナール科目を設けている。また、語学教育では、英語は40名、初修外国語(ドイツ語、フランス語、中国語、朝鮮語、ロシア語)は30名を上限にクラス編成をし、国際化時代に必要な語学力を鍛える教育を行っている。以前より教員と学生とのコミュニケーションを円滑にするためのオフィスアワーは設けられていたが、それを利用できない学生に対応するため、随時利用できる数学の『質問受付室』が設置された。ここでは、昼の12時〜1時、午後の3時〜6時に数学担当教員が常駐し、個別質問を受け付けている。学生は自分の都合に合わせて利用でき、個別に対応してもらえるので、学習効果は着実に上がっている。また、Web学習支援システムの開発・導入も進められており、自宅学習も含めた学生の能動的な学習を促している。さらには理科系科目においては、高等学校レベルでの基礎知識不足に対応する試みも行っている。「高等学校では受験科目の選択を早くから行うため、バイオを専門とするのに生物を選択していない、理学部なのに物理をとっていないという学生が少なくありません。また、高等学校の授業で実験をほとんど体験していないので、器具の扱い方を知らない学生も多くいます。こうした基礎知識不足に対応するため、接続授業や補習授業を実施して、専門科目へのスムーズな接続を図っています」と佐藤正明教授は語る。実験内容や器具・機械の扱い方を事前学習できるeラーニングシステムも、現在開発中である。『質問受付室』の設置などきめ細かな教育の推進将来の大阪、関西、日本、世界を担う人材の育成のために設立された、画期的な教育機関。総合教育研究機構31

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