大学広報誌OPU Vol.01「新」
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うな仕事です。国内のみの方法と、パラリンピックのような国際的な方法とがありますが、その基準に沿って、テクニカルに詳しい方と我々のようなメディカルに詳しいスタッフがチームを組んで、選手一人ひとりのクラスを決めます」クラスの境界にいる選手にとっては、クラス分けはメダルに手が届くかどうかの大きな問題でもある。「不平不満をなくすためのマニュアルの検証や障害の研究など、つねに取り組まなければならない問題が多くあります」奥田教授の研究室には6台のパソコンが並ぶ。これは、障害が運動にどのような影響を与えているのかを客観的に探求するため、数年前から導入したコンピュータによる動作解析を行うためだ。「最近では、6台のビデオを雪原に設置して、トリノ・パラリンピックのノルディックスキー選手に走ってもらいました。それを合成した3次元の解析で、フォーム、スピード、関障害者のスポーツには「クラス分け」があるRehabilitation総合リハビリテーション学部は、疾病の予防から治療・回復・社会復帰、そして要介護状態の予防など総合的にリハビリテーションをとらえ、実践できる高度な医療専門職の養成をめざしている。その中のひとつ理学療法学専攻では、身体に障害がある人を対象に、基本的動作能力、座る、立つ、歩くなどの医学的リハビリテーションを中心に学びが展開されている。しかし、「理学療法の目標は、その人の自立支援であり、自己実現である」というのが奥田教授のポリシー。奥田教授は障害者、とくに重度障害者のスポーツ参加に力を注ぎ、サポートのための用具開発に取り組んでいる。身体障害の人が競技スポーツをする場合、軽い障害の人と重度の障害の人が競えば不公平が生じる。たとえば、水泳競技ではパラリンピックの場合、障害の程度に応じて10クラスに分けられており、また車椅子バスケットボールの場合は、1チーム5名の選手の身体の能力の合計点数が14点以下で構成することになっている。奥田教授は、水泳、車椅子バスケットボール、アーチェリー、ボッチャなどのクラス分け委員も引き受けている。「クラス分け委員は、いわば公式審判員のよコンピュータを使った動作解析の導入「座って、投げて、一番!」との願いを込めて『座投一(ざとういち)』とネーミングされた調節式スローイングチェアー。従来型と比べ、選手の障害の特性に応じて調節できるため、動作解析でも、投げた軌跡がスムーズで、身体の揺れも少ないことが証明された。障害者スポーツの運動解析と、普及のための補助用具を開発。総合リハビリテーション学部理学療法学専攻29

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