大学広報誌OPU Vol.01「新」
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大阪府立大学経済学部は、ひとつの学部で経済、経営、法律の知識が同時に得られるユニークな学部である。ここでは生きた経済や経営を学ぶために、ニュービジネスの育成について勉強する「ベンチャービジネス論」などにも力を入れてきた。2001年に従来の研究者養成のための経済学研究科と別に社会人のためのサテライト教室をなんばに開設し、2003年には「なんばパークス」に移転して本格的に稼働させた。ここでは、社会の第一線で活躍する人々が、職業上の経験の理論的整理、最先端の学問の学習などを通じて、地域および社会の発展に貢献できる、高度な研究能力と豊かな学識を備えた高度職業人をめざして勉学に励んでいる。経済学部のサテライト教室の開設は、大阪府の大阪産業再生プログラムの一環として位置づけられていた。その目的は、大阪の産業の再生と振興に役立つ人材の育成。その時、山本教授の頭にあったのは、キタに比べて地域活性化が遅れているミナミの地域再開発とコラボレーションできないかということだった。「サテライト教室の場所として、府の施設のなんばという立地にこだわった背景サテライト教室では、「関西経済と経営戦略」や「ベンチャービジネス論」といった社会人に魅力のある、実学中心の授業科目を開講し、関西経済団体のトップの方々も講師を務めている。また、主要企業の経営トップ、実務家、弁護士、公認会計士の多彩な講師陣による事例研究や実務的な授業も行い、理論と実務の双方にわたって理解を深めることができるカリキュラム編成となっている。中でも山本教授の担当するベンチャービジネス論は人気の高い授業だ。「ベンチャー企業の育成は、大阪府立大学の産学官連携のテーマとしても掲げています。バイオ、ナノテクノロジー、IT、環境、そういったジャンルからは今後も起業があり、それに大学が応えなければなりません。理系は技術面での連携を行いますが、それだけではベンチャー企業は成功しません。経営や人事管理など、専門的な企業経営の知識を持った人が必要です。こうした人材の育成こそ、我々の役割ではないかと考えています」ここを修了してベンチャーの起業家になる人も出てくるだろうが、それよりも山本教授が期待しているのは、もう少し広義の意味で大阪の経済に貢献するような人材の育成だ。「修了後に取締役になるなど、キャリアアップされた方は相当数います。中には研究をさらに深めたいと、大学の研究者に転身された方も出てきています」サテライト教室では2つのコース、経営学専攻「戦略経営・法務」学習プログラムと経済学専攻「公共政策」学習プログラムが用意あそこが使える、ここが空いているといった情報は寄せられていました。しかし私は、大阪らしい街・ミナミにこだわりたかった。ゼミの卒業生から、なんばパークスの開発にあたっての街のソフトづくりの相談を持ち込まれたとき、大阪府立大学大学院のサテライト教室はここで!と思いました」なんばパークスは、平日には4000人あまりの人々が働く。この足回りのよい地に設置された社会人大学院の博士前期課程サテライト教室は、平日は午後6時15分から、土曜日は午前9時30分から授業が行われ、現在2学年で80名弱の社会人が学んでいる。経済学部・経済学研究科山本 浩二教授Koji YamamotoProfile1988年大阪府立大学経済学部助教授に就任。1996年教授に就任。専門分野は、管理会計・マネジメントシステム。日本原価計算研究学会副会長、関西ベンチャー学会副会長、日本管理会計学会常務理事、平成18年度公認会計士試験委員、大阪府公金管理アドバイザーほか、公職多数。授業は、平日夜間と土曜日。勤めながら通学し、標準修業年限2年で学習・研究成果があげられるカリキュラムが組まれている。ベンチャービジネス論など実学中心の授業を展開キャリアパスのひとつMBAを取得EconomicsキャリアアップやMBA取得もめざせる社会人のためのサテライト教室。経済学部経済学研究科サテライト教室21

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