大学広報誌OPU Vol.01「新」
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Astrophysics天の川を見ると、所々に星がまったく見えない真っ黒な部分があることが分かる。いわゆる「暗黒星雲」と呼ばれているところだ。暗黒星雲は実は光を通さない「黒いもの」が集まっている空間で、この「見えないもの」を見ることができるのが電波望遠鏡である。小川研究室では、電波望遠鏡を使って星の誕生の現象を観測するとともに、この望遠鏡の性能を上げることのできる高性能受信機の開発にも成功した。世界の最先端技術を集結して始まる宇宙観測計画・ALMA(アルマ)でも、大阪府立大学開発の高性能受信機が使われる。暗黒星雲の黒いものの正体は、宇宙空間に漂う星間ガスに含まれる「ちり」。星間ガスには、「ちり」のほかに水素を主成分とするガスが多く含まれている。星の主成分は水素ガスだから、水素ガスがたくさん集まった部分、つまり暗黒星雲こそ星の生まれる場所なのである。暗黒星雲では星間ガスは原子ではなく、分子の形で存在しているので「分子雲」と呼ばれている。分子雲の内部は、大量の「ちり」が光を通さないので光学望遠鏡では見ることができない。暗黒星雲で星は生まれる<おうし座暗黒星雲の光学写真(左)、電波写真(右)>光学写真では黒く見える「暗黒星雲」は、電波写真の色づいた部分とよく一致している。この赤の部分が電波が一番強いところで、赤→黄→緑→青の順に電波が弱くなっているが、電波の強度は電波を出しているものの量を表す。(光学写真:東京学芸大学土橋、電波写真:名古屋大学提供)星の誕生に関する現象を研究。さらには電波望遠鏡に搭載する高性能受信機を開発!理学部理学系研究科宇宙物理学小川研究室19

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