大学広報誌OPU Vol.01「新」
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全国の大学を取り巻く環境は、いま非常に厳しい状態にあります。第一は、急速な少子化により、大学全入時代がすぐそこまで来ていること。第二は、国や地方公共団体の財政の逼迫により、大学自体に研究資金獲得の努力が求められること。第三は、グローバル化に大学も巻き込まれていることです。大学を法人化するにあたって、この3つは常に念頭に置かねばならないことでした。特に第二の資金獲得は、早急に取り組まなければならない課題でした。そのため各学部・研究科では、自分たちはどういう目的でどう進むのかを議論し、200項目もの目標をうち立て、多くの数値目標を組み込んだ6カ年中期計画を立案しました。教育と研究の数値化は一筋縄ではいきませんが、数値目標を随所に取り入れることで方向性を明確にしようという考えからです。とくに高度研究型大学をめざすという場合、多額の研究費が欠かせません。外部からの研究資金獲得が大切になり、これについては法人化前の30%増というかなり高い数値目標を設定しました。単純計算で毎年約5%増を達成しなければならないはずでしたが、1年目で、すでに20%以上の外部研究資金を獲得できました。取得特許件数やそのほかの数値目標にしても、予想以上のスピードでクリアしており、これらはすべての教員をはじめ全体の意識改革が順調に進行している成果だと考えています。魅力ある大学づくり、つまり入学したときよりも卒業するときにはるかに実力がついている大学づくりは、少子化時代だからこそ重要です。語学教育や海外留学制度の充実も、グローバル化への対応として積極的に進めなければならない課題です。こうしたことにも、私たちは一生懸命に取り組んでいます。これまでの経緯を見るかぎり、大競争時代にあっても、大阪府立大学は順調に、かつ大きく発展するものと信じて疑いません。「あらゆる分野で活躍でき、自己主張ができる個性豊かな人材」というのが、私たちが育てたい理想の人材像です。そして国内はもとより、国際的にも指導的な立場で活躍できる人材を輩出したいと願っています。「大阪府立大学の学生は地味」という社会評価があるようですが、私はこれを負の評価だとは受け取っていません。こつこつと努力して成果を出していくのが府立大学の一つの特徴であり、卒業生も実務の分野で活躍している人が多く「質実剛健・実力の持ち主の集団」です。経済学部出身の直木賞作家・藤本義一さん、工学部出身の直木賞作家・東野圭吾さん、経済学部出身で日産自動車の最高執行責任者である志賀俊之さん、このほかにも個性や実力を発揮してさまざまな分野で活躍中の先輩が多数います。私はこうした実力に加え、今後はコミュニケーション能力とプレゼンテーション能力を磨く教育が、若い人たちには必要と考えています。こうした力は、総合教育研究機構や学部での専門教育のプロセスで、しっかり身につけることができるでしょう。21世紀の世界で生きる実力派集団になれる素地が、ここには十分あります。私たちは今後、新しい大学と新しい学生像のイメージを、社会に対しても正しく積極的にアピールし、魅力ある大学像と学生像の創出に力を注いでいきます。社会に対するイメージ戦略も今後、積極的に展開数値目標を立て大学全体の意識改革も進行中12

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