教育PRO 平成30年2月27日
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16教育PRO(第3種郵便物承認)平成30年2月27日で提言されていた「eポートフォリオ」を、学域・学類制が始まった2012年から導入しました。従来は授業アンケートを行っていたのですが、これは、学生が満足度の観点から授業を評価するものでした。しかし、大学の教育で重要なことは、授業に対する満足度より授業を通して学生が何をできるようになったかです。「Teaching(ティーチング)からLearning(ラーニング)へ」というのが世界の潮流です。学びの結果として「Outcome(アウトカム)」、すなわち結果が問われるのが今の流れで、授業を受けて学生が何を身につけたのかという、学生の学びの視点から、アンケートも変えていきました。学習目標がどれだけ達成できたのかを問う項目を中心に質問項目を設定しました。「 eポートフォリオ」を学生の学び支援に活用しています――eポートフォリオは授業アンケートに留まらず、学生に対する様々な支援にも活用していますね。高橋 「学習・教育支援サイト」を構築しています。PCやスマホ、タブレットから、学生自身が半期の学習目標を設定し、次に学習のふり返りを自己評価として書いてもらいます。加えて、学士課程がめざす学修成果に対するふり返りについても記入してもらいます。知識、技能、生涯学び続ける態度など10項目ありますので、それらの達成度について聞きます。それに各科目で授業に対する学習の達成度、満足度なども答えてもらいます。 次頁が学生各自のeポートフォリオの表示モデルです。自分の授業で成績がどうだったか、達成度がどうだったのか、自己分析がどうだったのかなどを記載しておき、このデータが溜まっていくと、自分の学びの履歴が分かってくるのです。われわれ教員は、各学生にはこういうデータを大いに活用し、就職活動にも役立ててほしいと思っています。自分の成績が、その授業のクラス全体の成績分布のどこに位置しているのかを、学生は確認することができます。普通は自分の成績しか分からないのですが、クラスの結果がアンケートも含めて全部分かります。半期ごとに自分が何単位修得し、成績がどうだったか、これまでのGPAがどのように変化しているかを、グラフ等で把握できるようになっています。従って、ログインすれば個人にはそれがフィードバックされるシステムになっています。――自分の学びの履歴データを学生自身が就職活動等にどれだけ使ってもらえるか、活用しやすくするシステム設計が課題だと言えませんか。高橋 eポートフォリオなので、まず紙に書いてもらうのと違って回答率を上げることに課題があります。今年度、スマホで回答しやすいようにシステムに改善を加えました。「 初年次ゼミ」で、学びのスタイルが明らかに変化しています――初年次ゼミを継続的に実施してどのような学力向上や変化がありましたか。高橋 学生調査は学域・学類制導入前の2009年度から継続していますので、学部・学科制までの時(~2011年)と学域・学類制導入後(2012年~)ではどのように変わったのかについて分析しました。例えば学生調査項目の折れ線グラフで学部1年生2009、同2010、同2011と学域1年生2012を比較してみますと、項目として「学生が自分の考えや研究を発表す

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