高度人材センターご案内
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Toshiyuki Matsui産業界で 90年代のバブル崩壊を経て、少子高齢化や産業構造のグローバル化等の難題に直面している今日、戦後の高度成長を支えてきたいわゆる日本的経営にみられる制度や慣行が、今日の経済成長戦略の根幹とされるイノベーションの創出にとって、むしろそれを阻害する要因になっていると言われています。このような時代を迎え高等教育機関としての責を担う大学には、イノベーションの担い手となる自由で大胆な発想をもった若手の高度研究者・アントレプレナーの育成という、従来になかった新しい役割が求められています。 産学協同高度人材育成センターは、そのような要請に応えるべく2008年に、本学21世紀科学研究機構に設立されました。以来、センターでは産業界の第一線で活躍されてきた方々に直接的に学生の教育に携わって頂くことに重点を置き、主に博士後期課程学生を対象にアントレプレナーシップの醸成に努めてきました。設立から12年を経た今日、140名を大きく超える博士研究人材が国内外の企業において長期のインターンシップを経験するなど、センターが提供する教育カリキュラムの受講者がここで培った力を存分に発揮し、産業界でイノベーションを担う人材として活躍を始めてくれています。 さて、在学中の多くの学生さんにとっては、これまで受けられていた教育は、正しい解を見つけることを目的とし、それを発見するための術を学ぶというものであったのではないでしょうか。一方で、センターが提供する教育カリキュラムの目標の大きな部分は、自らの知識や経験を基に発想を積み重ねることによって、正解のない問題に取り組む、あるいは自ら問題を定めるということを目指したものとなっています。初めは確かに大きなとまどいがあるかもしれません。ただ、これまで受けてこられた教育と大きく異なる点は、失敗しても、それがいい失敗である限り、何度でも失敗しやり直しても構わないということかもしれません。間違いや失敗大いに結構、恐れず、挫けず、勇気をもって何度でもやり直せばいいのです。 今、皆さんがあたりまえに使っている製品やサービスの中には、実は10年前、15年前には影や形どころかそのアイデアの片鱗すらなかったものがそれなりにあることは実感できるく輝ドクター。大阪府立大学副学長(人材育成教育担当)・国際・社会連携推進本部長高度人材育成センター長松井 利之本学工学研究科物質・化学系教員として機能性薄膜物質の開発研究に従事。産業界で活躍する卒業、修了生を数多く輩出してきた。現在は、高度人材育成センター専任教員として、TECカリキュラムを展開し新規イノベーションを創出する博士研究者人材の育成に努める。のではないでしょうか。是非センターが提供するカリキュラムの受講をきっかけに、イノベーションを担う人材を意識してください。これから、10年後、15年後の人たちが、当たり前に使っている、いま影も形も無いものを作り出すのは、皆さんのちょっとした好奇心やアイデアかもしれません。「イノベーションを担う高度研究人材へ」02

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