大阪府立大学 環境報告書デジタルパンフレット
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私は、2013~2016年度にE~きゃんぱすの会に所属していました。そのきっかけは、学部1年生の必須科目であった講義に、当時代表を務めていた藤本千恵さん (生命環境科学部)が現れ、E~きゃんぱすの会の活動を紹介されたことでした。「大学の社会的責任 (USR)として発行する環境報告書を、学生が主導で作成する」ことにより、「学生から、大学のあり方に“物申す”、環境について提言する、という活動をしています」という堂々とした話しぶりに、学生に挑戦する機会を与えてくれる暖かく、懐の深い大学に入学できたと感じ、希望で胸が震えたのを覚えています。 環境報告書を作成する中では、教職員の方々とやりとりをすることになります。学生からの「目線」と、教職員からの 「目線」は異なります。その違いから、立場や年代の異なる方々の意見の重要性、そして大学の公式文書として組織名を背負う責任の重さを学べたことは、社会に出ていく上でも大変良い経験となりました。この活動が続いてきたのは、学生側の情熱は勿論ですが、教職員の方々が学生とのつながりを大事にするという 「大阪府立大学らしさ」も要因ではないでしょうか。 本寄稿のタイトルを 「『大阪府立大学』環境報告書の最終号の発行に寄せて」とさせていただいたのは、大学統合後もなんらかの形で、学生が主体となって環境報告書を作成するという取り組みを続けていってほしいという思いからです。 この場をお借りして、この環境報告書が今後も学生と教職員をつなぎ、社会に向けて発信され続けていくことを切に願います。 E~きゃんぱすの会OB 辨野 真理(大阪府職員) 寄稿2✍ 寄稿1✍ 大阪府立大学らしい環境報告書を作りたい。2011年にエコ・サイエンス研究所に赴任して、そのように所⾧の大塚耕司先生に持ちかけられた時、これは大変なお仕事だと思いました。環境報告書の中身も、府大らしいという意味も、ゼロからの手探りだったからです。 府大らしい環境報告書を考える上で、早い段階で環境部エコロ助、里環境の会OPUなどで活動する学生さんたちの活動を拝見し、お話をする機会に恵まれたのは僥倖でした。「きちんと環境報告書を持つことは、大学とそこで学ぶ学生たちの社会に対する責任だと思う。大学も学生と対話してほしい。」そう語る学生さんたちの姿に頭の霧がすっと晴れました。学生さんと大学が対話しながら、学生さんが主体となって作成することこそ、府大らしいのだと思い至ったのです。 早速、学生さんたちと3つの基本方針について議論を始めました。環境報告書の作成が、①学生たちが大学の持つ社会的責任について深く考え、対話し、学習する機会となること。同時に、②大学の環境マネジメントのみならず、キャンパスの⾧期的な未来像も含めた総合的な環境ガバナンスについて、学生間で、大学との間で積極的に対話し、実現する機会となること。③こうした活動も含めて、学生たちが環境報告書の内容を企画し、自ら取材し、記事を書くこと。 幸いにもこれらの基本方針は学生さんたちの考えていたところとも一致し、環境報告書について熱心な議論が始まりました。初年度を担当した学生さんたちは、取材の仕方、文章の書き方はもちろん、環境マネジメントとは何か、という根本的な問いの前に立ち止まり、苦労していました。感服したのは、自分たちが見つけた問題点を解決すべく、すぐさま別の活動を立ち上げる実践力の高さでした。府大の学生さんの可能性を何より感じた 初号・二号完成でした。 統合後も、その財産が引 き継がれることを願って やみません。 E~きゃんぱすの会 初代顧問 福永 真弓(東京大学大学院准教授) OPU University Social Responsibility Report54

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