平成30年度版(平成29年度報告)環境報告書
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第2章 環境研究・環境教育 近年、気候変動による農作物の収穫量の不安定や農業従事者の減少、食に関する安全性の意識向上により、食料を安定して供給できるシステムが求められています。それらを解決する方法として植物工場があります。 植物工場とはLED等の人工光を用いて空調設備、養液培養によって生産を行うシステムのことです。大阪府立大学ではC21棟とC22棟で生産を行っています。植物工場は天候の影響を受けず無農薬で生産でき、害虫の被害にあうこともないため安定した価格、量での供給が可能となっています。 しかし、設備費用や光熱費などのランニングコストが非常に高額であるため黒字達成がなかなか難しくなっています。生産コストを抑えて生産量・品質を向上させるにも、栽培環境を最適化することが必要です。 私の研究では同化箱を使って温度や湿度等の環境要素が植物の光合成速度に与える影響を、レタスを用いて評価しています。同化箱は温度、湿度、二酸化炭素濃度、風速を変えることができるもので、その中にレタスを入れて光を当てて実験を行います。光を当てる ことで植物は光合成をするので、実験前と実験後の二酸化炭素濃度変化から光合成速度を求めます。光合成速度は植物の生育を左右する重要な要素なので、この値を評価することにより最適な栽培環境を求めていくことができます。 今後はC22棟の植物工場の栽培環境測定も行う予定で、測定結果から環境改善の提案することができれば良いと思っています。実験はうまくいかないことも多いですが、まだ他の人がしていないことや、まだ分かっていないことに取り組むのは研究をしていてやりがいを感じます。研究結果によって人類の食糧危機を救うかもしれないと思うと責任重大です。 大学院生からの環境研究報告 安全で美味しい 野菜作りのために 桑木 雅史使用している同化箱 植物工場でのレタス栽培 「環境報告書(平成29年度版)」においては、初めて本学の大学院生が進めている環境研究を掲載することとしました。ここでは2名の大学院生の研究内容を紹介します。 ・桑木 雅史(工学研究科/E~きゃんぱすの会) ・二反田 広希(生命環境科学研究科) OPU University Social Responsibility Report22

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