平成30年度版(平成29年度報告)環境報告書
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第2章 環境研究・環境教育 本学には博士課程(前期過程)に「国際環境学特論」という科目が設置されています。この授業ではこれからの社会に必要な「持続可能な開発のための教育」について学ぶことができます。 多彩な講師陣により授業が進められており、開発途上国への国際協力を行う独立行政法人国際協力機構JICA(Japan International Cooperation Agency)の職員の方々にも講師を務めて頂いています。 その一人、JICA国際協力専門員として、地質学や環境汚染、廃棄物等について40か国以上の発展途上国で指導をしてきた吉田充夫さんにお話を伺いました。 吉田さんは平成21年度の「環境人材育成教育プログラム」を構築する時代から関わっておられます。 Q 「国際環境学特論」の開発途上国と環境問題に関する授業において、心掛けておられる点は何でしょうか。 この授業では国際協力の本当の姿を知ってもらおうと心掛けています。モノを分け与えるのが途上国への支援と考えられがちですが、ただ単にモノをあげるのではなく相手の意識を刺激し、現地の生産活動が円滑に進むように協力していくことが大事です。JICAでは途上国の活動支援として、部屋の中でレクチャーやディスカッションを行い、現場で作業の具体的な説明をする等、あくまで主導権は現地の人に 残しながら、彼らの活動をサポートしています。 こうした活動を理解してもらい、現地でできる活動を行ってほしいと考えています。 Q 吉田さんが特に取り組んでみたい国や環境問題があればお教えください。 中東、アフリカ地域、その中でもパレスチナ、イラン、シリア、イラク、アフガニスタン等が特にサポートを必要としていると感じています。これらの地域に共通する特徴は、紛争の多い地域であることです。環境問題は平和から遠い地域ではないがしろにされがちで、このような地域の復興に協力していきたいと考えています。日本は中東から石油を、アフリカから金属を輸入しているので決して無関係な立場ではなく、地域の安定は私たちの利益にもつながっています。 Q 「国際環境学特論」を履修する本学の大学院生にアドバイスをお願いします。 もっと活発な議論をすれば良いと思います。自分から発言すること、知らない人とディスカッションすることは今の学生にはなじみがなくなってしまったものなので、そこに関する力をもっと養ってほしい。 その上で、日本と開発途上国の格差がどの程度あるのかを常に考え続けてほしい。先進国の人口は世界人口の30%以下であり、多くの人が貧困に苦しんでいるのが現状です。自分たちとも関係のある途上国のために、国際協力として自分に何ができるのか考えてほしいと思います。 インタビューを終えて 日本と開発途上国の格差がどれだけあるのかという話は印象的でした。途上国の多くの人が貧困に苦しんでいるのが現状とのお話を聞き、途上国のために国際協力として自分に何ができるのか考え続けていく必要性を感じました。 担当:河添 修平(E~きゃんぱすの会) 「国際環境学特論」の授業から 吉田 充夫さん(一般社団法人国際環境協力ネットワーク代表理事/元JICA国際協力専門員) 21大阪府立大学環境報告書

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