平成30年度版(平成29年度報告)環境報告書
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第1章 環境活動 平成20年4月から7年間、本学は堺市、NPO法人ASUの会と連携して一般家庭から回収した廃天ぷら油からBDF(バイオディーゼル燃料)を製造し、堺市のゴミ収集車で使用する実証実験を行っていました。実験終了後、BDFは中百舌鳥キャンパス内の農場で使用していると聞きました。そこで、理学系研究科講師の徳本勇人先生とASUの会理事長の柴田美治さんに話をうかがいました。 Q この取り組みを始めたきっかけや大学とASUの会の役割は何でしょうか。 後の世代にきれいな地球を残すため、地域の人々で身近にできる活動を始めようと思い、家庭からの廃天ぷら油を回収してBDFを作ることを始めました。廃天ぷら油の回収をASUの会、BDFの製造とその技術提供(超音波を利用)を本学が行っています。 Q 農場におけるBDFの使用状況はどの程度でしょうか。 年間、農場のトラクターに50ℓ、暖房機1台に120ℓ、馬術部の夜間練習用照明に540ℓ、馬術部夏季冷房に1,017ℓ、合計1,727ℓを使用する予定です。廃天ぷら油は生協の排出量3,600ℓと大学周辺域の一般家庭から集めています。 Q 苦労された点や注意していることがあればお教えください。 灯油を燃料とする暖房機にBDFを燃料とするのは技術的に難しく、現在、灯油とBDFを半分ずつにして使い、少しずつBDFの比率を増加させる検証を進めているところです。農場の燃料費コストを3~4割減らすことができています。 Q この取り組みに府立大学の学生は関わっていますか。 馬術部の伊藤さんが自身の修士論文研究の一部として関わっており、馬術部との連絡やBDFの製造も進めています。 Q 今後の展開について、何か考えておられれば、お願いします。 平成28年12月に1台で一般家庭2軒分の発電が可能なディーゼル発電機を2台購入しました。馬術部の光熱費削減とBDFの大量消費のために導入しましたが、地震等の災害が起きて停電になった場合、発電機を動かして周辺住民の携帯電話を充電する場所等として使用することもできます。このような防災拠点としての役割も担うことを考えています。 インタビューを終えて 馬術部が馬の飼育のため24時間体制を取っていることは聞いていましたが、防災拠点として機能する点は驚きでした。廃棄物から燃料を製造して発電し、光熱費を削減する活動は、学生にとって携わることのできる環境活動です。廃棄物と二酸化炭素の排出量の少ない大学に向けての大きな一歩と感じました。 担当:桑木 雅史(E~きゃんぱすの会) 柴田 美治さん(ASUの会理事長) 伊藤 みさごさん(馬術部/工学研究科2年) 後ろはBDF製造機 農場でBDFを使用している暖房機 防災拠点として期待される大型発電機 廃天ぷら油から製造したBDFをキャンパス内の農場でOPU University Social Responsibility Report16

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