平成28年度版(平成27年度報告)環境報告書
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42 OPU University Social Responsibility Report 大阪府立大学には博士課程(前期課程)の授業に「国際環境学特論」という授業があります。この授業ではこれからの社会に必要な「持続可能な開発のための教育」について学ぶことができます。ESDとは、Education for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)の頭文字を取ったもので、2002年(平成14年)のヨハネスブルクサミットで日本政府と日本のNGOによって提案され、同年の第57回国連総会で採択されました。このESDについて、教育学を専門にされ、環境先進国であるドイツを中心に学校の環境教育を研究している高等教育推進機構の若林身歌先生にお話を伺いました。 Q 「国際環境学特論」のESDの授業において特に心掛けておられる点は何でしょうか。 近年環境問題の要素が多様化・複雑化しており、生活環境や自然環境、社会環境といった形で環境を分野別にとらえるだけでなく、環境そのものを総合的に捉える必要があります。しかし限られた時間でこれらを学ぶのは難しいので、私の授業では学生が実感(体験)を通して学ぶことを重視し、ワークショップを通してこれから環境のためにやるべきことを考えてもらっています。 ワークショップではドイツの教材を使って各国の一般家庭で一週間に必要とする食料を比較したり、世界がもし100人の村だったら、という仮定をして国や民族、様々なくくりから互いを比較したりして、世界の様相を授業でできる限り実感してもらっています。 さらに学生をグループに分けてイメージマッピングをしてグループ内やグループ間で意見交換をし合ったりもします。大阪府立大学の特色として、授業を受ける院生は理系の学生が多いので、各々の自然系の専門分野からの環境へのアプローチが新鮮で刺激になることが多々あります。 Q若林先生が今後取組んでみたい教育や研究があれば教えてください。 国連ESDの10年間のキャンペーンが2014年(平成26年)に終わったので、その総括をしていきたいです。ESDを実践してどんな成果があったのか、具体的な話を知るために現場での結果を見ていきたいです。特にドイツでは、モデルスクールがあるので気になっています。また、日本でも東北の方に地域でESDに取り組んでいる地方があり、震災を通して新しい地域づくりをどうしていくのかに注目しています。 インタビューを終えて 若林先生の授業は、体験型・参加型でその中で環境問題を考えさせることから、履修生には評判の授業になっていると聞いています。インタビューを通して、限られた授業時間内で、体験と参加を重視していることを感じましたし、授業で取り扱う内容を一部説明して頂いたことで今まで知らなかった、というより意識していなかった問題が多いことにも気づきました。もし大学院生になれば、受けたい授業の一つと考えています。 担当:河添 修平(E~きゃんぱすの会) 若林 身歌准教授(高等教育推進機構) 「国際環境学特論」の授業から

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