環境報告書2014年度
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38 OPU University Social Responsibility Report 科学実験教室というと、白衣を来たおじさん先生が難しい説明をしながらやっているイメージがありますが、本学には「リケジョ」(理系女子)による科学実験教室を行うグループがあります。彼女たちは理系女子大学院生チームIRIS (アイリス)で、今年で結成4年目になります。今回は、創立時からのメンバーの一人であり、IRISの名付け親でもある髙井飛鳥さんのインタビューから、IRISの奮闘ぶりをご紹介したいと思います。 この科学実験教室「子どもサイエンス・キャンパス」では、普段は理系大学院生として専門的な研究にまい進しているIRISのメンバーが、どのようにするとよりわかりやすく理系分野や研究の面白さを伝えられるかを考えながら、小中学生向けの科学実験をしています。「箱カメラをつくろう」「紫いもでぬり絵をしよう」「れんげの水飲み鳥を作ろう!」などユニークで、なおかつ家に帰っても家族でもう一度実験ができそうなものを行っています。基本的には地域の小学校等からのオファーを受けて行われる子どもサイエンス・キャンパスは、年に12回程度です。一番頻繁に行われる時期は親子で参加しやすい夏休みの間ということです。髙井さん自身も小学生のときに学研や母校の高専の科学実験教室に参加し、そのときに感じた驚きや興味が工学の道に進むきっかけであり、IRISの活動へのモチベーションにもなっているそうです。 学校の先生とは違う「学生」としての強みは、子どもとの距離が近いことです。理科離れが進むこの頃ですが、IRISメンバーが楽しそうに実験の説明をすると、リケジョ(理系女子)の科学実験教室 小学生の女の子も楽しそうに説明を聞いてくれます。 サイエンス・キャンパスでの実験内容は、普段は別々の分野で研究しているメンバー3~4人が集まって考え、意見を出し合って作り上げています。そうすることで、一人では思いつかないような案がどんどん出てきて、刺激的で楽しいのだとか。このようにメンバーで協力して実験を考えることで、学生がこれから社会に出て必要なコミュニケーションの力、グループワークでの協調性を身につけることができ、そしてなによりも、まだまだ研究者の中でも人数が少ない同じ年代の女性研究者の卵同士の交流が深まったそうです。 また他にもオープンキャンパスで「理系女子コーナー」を設けて、理系の道に進みたい女子高校生がIRISメンバーに相談できる活動も行っています。この活動は、外部からも高い評価を受けています。主に高校1~2年生の女子が「将来、研究したいことがあるのですが、どこで、どのような研究ができますか」など具体的な質問を投げかけてくるそうで、そのほとんどは彼女たちが事前に下調べをした上での質問であるということです。髙井さんはそのような彼女たちをみると未来の理系女子の姿をイメージできて頼もしく思い、この活動をやっていて良かったと感じるそうです。また、相談後の高校生自身の感想でも、「同じ理系の女子の先輩からの意見は貴重で、頼りがいがある」などとのことです。付き添いの保護者からの質問も多く、多くの方が「娘が進みたい道は娘に本当に向いているのか」といった不安を持たれており、「理系女子コーナー」はIRISメンバーが「きっと大丈夫ですよ」と理系女子、そしてそれを見守る家族を励ます場にもなっています。

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