環境報告書2014年度
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18 OPU University Social Responsibility Report 大阪府立大学のキャンパスの中でも一際緑豊かな中百舌鳥キャンパスでは、現在までさまざまな環境上の工夫と配慮がなされてきました。中百舌鳥キャンパスの緑づくりにはどのような背景があるのでしょうか?ここでは特に、キャンパスグランドデザイン検討会(以下、「検討会」)とキャンパス・ビオトープ研究会(以下、「研究会」)に注目し、両会に関わってこられた石井実教授と新井励准教授にインタビューしました。  ―――キャンパスで思い入れのある場所はどこですか新井准教授:私は昔から虫が好きでした。小さな頃は周りに虫があまりいなかったので、堺市に初めて来た時は田んぼがあり、キャンパスに池があることが嬉しかったです。府大池は大学時代初めてザリガニを釣った思い入れのある場所です。石井教授:府大池やしょうぶ池などの水域と、陸域では農場とグリーンベルトです。しょうぶ池は農場のはずれにあって、以前は、農場関係者が花の季節に池の周りでしょうぶ祭りを行っていました。現在は荒れてしまいましたが、再生していつか全学規模のしょうぶ祭りを復活させたいものです。これからの中百舌鳥キャンパス―――活動の中で特に重視された点は何ですか新井准教授:中百舌鳥キャンパスのゾーニングです。人間活動の場、自然との共生の場、研究の場などに区分し、それぞれをキャンパス全体としては生物の多様性の拠点となるように配置して、古墳、大泉緑地、白鷺公園など周りの緑とつなげるように心がけました。また、当時府大の中にシンボリックな場所がなかったので、共生の場としての役割を府大池にもたせました。石井教授: 例えば府大池は、都心の公園のような人工的なデザインではなく、自然と共存する生態系づくりを目指しました。とはいえ、上流から流入する栄養塩類による水質の悪化や池面を被いつくす外来水草への対応、水辺の安全性の確保など、ある程度は人の手を加えなければいけないので工学的手法も必要ですが、できるだけ自然のプロセスに委ねる方針にしました。―――これからの中百舌鳥キャンパスについてお聞かせください新井准教授:キャンパスが大学の地域貢献の場となり、より多くの地域住民に必要とされるような場所にしたいです。例えば子どもたちが遊ぶ場所、散歩をしたり虫取りをしたりする場所などになればと良いと思います。特に子どもたちは芝生や池など緑のたくさんあるキャンパスで遊んでほしいです。 年配の方には散歩道、保護者や子どもには遊び場、若者には図書館など、きちんとルールを作れば、もっと身近な場所に感じられると思います。中百舌鳥キャンパスはそのような地域住民にとって身近な存在になってほしいものです。石井教授:中百舌鳥キャンパスは、「キャンパス・ビオトープ」として人間と自然の共存のあり方を教える場になっていると思います。昔からあったため池や里

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