環境報告書2013
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48 公立大学法人大阪府立大学の「環境報告書(平成25年度版)」(以下、「環境報告書」という。)を拝見するとともに、中百舌鳥キャンパスにおける環境保全活動の視察や関係者の方への質問等に基づき、大阪府立大学の環境保全活動について、第三者としての評価所見を述べさせていただきます。 なお、本所見は、大学から提供を受けたデータや資料を基に作成しましたので、報告書全体の正確性を保証したものではありません。 1 全体的評価 大阪府立大学の環境保全活動の特徴は、環境理念に示されているように、大学の社会的責任を果たすために大学の教職員及び学生が連携してキャンパス内の環境保全活動・改善と環境創造を進める取り組みにあります。 理事長のトップマネジメントの下に、大学の3キャンパスと大阪府立大学工業高等専門学校を併せた全体を対象とした環境マネジメントシステムを構築され、その推進に学生が継続的に参画できるシステムとなっていることは高く評価いたします。 昨年度に所見を述べた際に、大阪府立大学の取り組みに対していくつかの期待することを列記しました。 そのなかには中百舌鳥キャンパスでの取り組みを他のキャンパスに拡大・充実してほしいといった単年度では困難と思える内容もありましたが、本環境報告書では概ねシステム化され、順調に拡大している状況が認められます。 とりわけ、すべてのキャンパスに環境推進員を配置し、各種データの収集体制を整備する等の環境マネジメントシステムの拡充・充実が図られ、実験装置の省エネルギー化の取り組み、グリーン調達制度の機関決定、環境推進員に対する研修会の開催等について進展が見られます。 全学に根付いた活動が継続されることで、大阪府立大学の環境理念が具現化することを期待します。 2 今後、期待したい点 ・環境マネジメントシステムの対象が全キャンパスに拡大されましたので、今後は取り組みの質的向上にも目を向けてください。 それには具体的な環境保全の取り組みに対し、でき た事とできなかった事を把握するとともに、できなか った事に対しては次年度に少しでも改善させる方策を 検討する仕組みを考えてください。 ・環境保全の取り組みを推進する中心は環境推進員です。大阪府立大学の環境推進員には教職員だけでなく、多くの学生が参画しており、ユニークな仕組みとなっています。 一方で学生は毎年、交代がありますので、研修や学生間での役割の申し送りを綿密に行う等により、環境推進員の技術水準の継承に留意する必要があります。 ・大阪府立大学の環境マネジメントシステムの特徴の一つである『学生による環境報告書の原稿作成』は、環境報告書を「キャンパス環境対策推進会議(議長:理事長)」において承認し、大学における位置付けを明確にするだけでなく、「環境活動演習」で参画した学生には単位認定することにより、社会的評価を与えるという優れたシステムです。是非とも、その継続を期待します。 ・省エネルギーに対する取り組みとして、「一人当たりのエネルギー消費量」「延床面積当たりのエネルギー消費量」といった観点から解析する等、更なる取組内容の強化を期待します。 また、実験装置の省エネルギー化の推進は、従来、困難な課題と考えられてきたものであり、研究機関の模範と思われます。引き続き、効率化の推進とともに学内での水平展開を期待します。 ・大阪府立大学の環境保全の取り組みは、教職員や学生を対象とした目標が中心となっており、外部のステークホルダーにとって評価しにくいものと思われます。 大阪府立大学が種々の環境保全・創造活動をどのように展開したかをステークホルダーに正確に伝えるためにも、ステークホルダーのニーズを把握する等により、この環境報告書をコミュニケーション・ツールとして積極的に活用されることを期待します。 平成25年9月2日 地方独立行政法人 大阪府立環境農林水産総合研究所 理事長 大河内 基夫 外部評価 外部評価における講評

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