環境報告書2013
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34|第5章 地域社会との連携の推進 「チームおせっかい堺」は、東日本大震災の被災地から堺市に避難している家族の子どもたちへの学習サポートを通じた交流活動を行うボランティア団体です。その中心メンバーであるお二人に、インタビューに答えていただきました。 普段は地域の公民館で活動していますが、平成24年8月29~31日は中百舌鳥キャンパスでイベントを開催し、午前中は普段通りの学習サポート、午後はイベントが企画されました。 ―――どのような経緯でできた団体なのですか? 西田:大阪府吹田市に支部を置く全日本企業福祉協会が、平成23年11月から被災家庭の子育て支援として「チームおせっかい」を立ち上げて、吹田市の避難者支援活動に取り組んでいました。 堺市は、避難家族が250~300世帯と大阪府下で一番多いのですが、平成24年6月から堺市でも支援活動を行うために結成したのが「チームおせっかい堺」です。堺市に位置する大学であるボランティアセンターに同協会から協力依頼があり、学生5人・職員1人が集まりました。 ―――どのような活動をしていますか? 上野:被災地から堺市に避難してきた家族の子どもたちを対象にした学習サポートを行っています。毎週日曜日の10~12時に、宿題を手伝ったり、学校の授業でわからなかったところを教えたり、一緒に遊んだりしています。 平成24年8月の催しでは、学習サポートだけでなく、馬術部の協力で馬を見学したり、吹奏楽部の協力で楽器体験したりと、これまでと違った活動を通して、いつも以上に交流することができました。 被災地から避難してきているため、通っている小学校になじめない子どももいます。この活動により、被災地の子どもたち同士が仲良くなれる場所ができて嬉しいです。 ―――学習の時間をのぞきに伺ったときに、私は「デリケートな子どもたちなのかな」と思ってなかなか話しかけられなかったのですが… 西田:僕も初めは迷いましたが、会ってみれば元気な子どもが多く、その姿を見て、近所の子どもたちと同じように接していこうと思いました。 上野:子どもたちと一緒に食堂でご飯を食べたとき「(放射能の影響で)西日本のものしか食べたらだめなんだよ」、「これどこのお肉?」と聞かれた時は、はっとしました。普段接している時にはあまり思わないのですが、ふとした時に、子どもながら色々なことを考えているのだなと感じて、気を遣うところはありますね。今後は、悩み事も聞ける相談相手にもなれたら良いなと思います。また、お母さんたちからもお話を聞いて、被災地のことを知りたいと思います。 堺で行う被災地支援「チームおせっかい堺」 対談を終えて 「何かしたい」と思う人は多くても、実際に被災地に赴いて、支援活動ができる人は限られてきます。 堺で子どもたちの楽しい生活をサポートすることや、お母さんたちから震災の話を聞くことのような、「今ここでできること」が、被災地と遠くに住む私たちの意識のギャップを埋めるために大きな役割を果たすことを教えてくれました。 担当:原田早紀 (人間社会科学部人間科学科)左:西田拓哉さん(生命環境科学域自然科学類) 右:上野静架さん(地域保健学域総合リハビリテーション学類)

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